まつもと・かずや氏

まつもと・かずや氏から新茶の季節がきたから我家のお茶を飲みにいらっしゃい、というお手紙を頂いた。昨年伺ったときに出されたお茶が、ご自分の庭の茶の木から摘んで精製したものだと言ったのを思い出した。美味しいお茶だった。

夫人は「何年かは失敗したのよ」と言った。焙烙で精製するのかと思ったら「フライパンよ」と無造作に言うのだった。だが、まつもと氏の家のお茶に呼ばれるということは、それに始まる懐石料理があるのだ。

それはそれは量感のある料理で、お薄を出されてから食べ終わるまで4時間くらいはすぐに経つ。そのあいだ、夫人は台所と客間を往ったり来たりしていて恐縮してしまうのだが、一向に苦にならない風だった。

何回夫人の手料理を頂いたことか。たまたま電話口に夫人が出ると「あら、いわぶちさんたまにはいらっしゃいよ」と、いつも言うのだった。夫人が同席するのは最後の珈琲タイムの時である。目の前で丈高いサイホンを用意したあとアルコールランプに火をつける。

「お父さんがこの入れ方じゃないと駄目っていうのよ」と夫人はしゃかしゃかとカップを配る。初めて伺ったときは、椎橋清翠さんとご一緒した。一時に伺うと伝えると昼食はとらないで来るようにという連絡が入り、その時以後ずーっと伺う度に、お料理を頂いている。

今日は3時に伺うと言ったこともあるのだが、家は3時頃が昼だから、というので、やっはりそこから暗くなるまでの晩餐だった。

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