六日町

ゴールデンウイークの直前の新潟は、田圃にまだ水も入っていない。見回せば高い山には残雪があり、魚野川も信濃川もゆったりと大きかった。このあたりは今放映のテレビドラマ『天地人』のゆかりの地。町にはいたるところに赤い幟がはためいていた。    

本来なら、六日町の夫の実家に直行するのだが、その家はもうない。誰も住まない家を十数年管理してきたが、昨年やっと手放したのだ。雪国の空家管理は大変なのである。兄弟姉妹たちも老いてきたので誰も継ぐことのない家に見切りをつけるしかなくなった。私は嫁の、それも外へ出た末っ子の嫁であるから、ただただ傍観者に過ぎない。

昨年までは、法事にかこつけては実家に集って、山菜採りに興じた。こごみ、蕗の薹、土筆、わらびなどを思う存分摘んできた。少し足を延ばしたときには、スキー場のリフトの下の斜面を覆う片栗の花も採ってきた。この花はゆがくと藍色になり、それを甘酢に漬けておくと、また鮮やかな紫になる。家があればあるで楽しむことは残っていたが・・。

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笹団子を買う店の前に追分の碑があった。清水街道とは国道291号線。三国街道は現在の17号線。以前はこの17号線を辿って実家に帰ったものである。紅葉の三国峠の風景は花の季節より鮮やかである。しかし、今は関越高速路が出来たので、この峠越えの醍醐味を味わう人は稀のようだ。

毎年摘み草に興じる義姉妹たちは、車のなかから「蕗の薹」だ、「こごみ」だと騒いだが、結局摘草をする機会はないまま一日が終ってしまった。夜は坂戸山の麓の旅館で、昼間車窓から眺めた「蕗の薹」や「こごみ」の料理を味わったが、御飯が不味いまずい、としきりにいう。たしかに魚沼産の本場にしてはお粗末だ。

2泊目の湯沢のホテルの夕食で姉たちがどんな感想をいうのかなーと思っていたが、ここの御飯は合格だったみたいで何も言わずに食べていた。冬はスキー客で賑わうであろうホテルの窓が「稜線」を切り取り、額縁の役目をしていた。

翌朝、売店に「こごみ」があった。一袋百円。

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