渡辺信子句集『冬銀河』    巴書林   2009/4/1刊

跋  島田牙城

    くらげ泳ぐ海底に開く新聞紙           昭和篇
    かすみ草勝手にゆれて戦災忌
    胡桃拾ふ冬日が波のポケットに鳴る
    もじずり草部屋に牧場がないと云ふ
    空に指ふれて花びらふとわたし
    ぼうたんのあたり金色夕仕度
    乾くものから翔つ村中の落葉

    すれちがふ誰もゐぬ野のシャボン玉      平成
    胆管に星のかけらの星まつり
    雪に濡らして読む死後の新聞
    白鳥の助走に我を反らす天

昭和55年に始まる句集で結社に入会して研鑽したこともないようだ。しかし、途中金子兜太の俳句教室に拠ったこともあるようで、すでに志向が自ずと定まっていたのを感じる。

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