加古宗也氏は「若竹」 主宰・この雑誌の源流は村上鬼城。
地ねぶりの春呼ぶ伊達の郡かな
瞽女歩みゐしかと越の斑雪野は
鮎の川はさみ縄文文化圏
竹夫人ころがつてゐる父の部屋
また一つ訃やがうがうと蝉の穴
風鈴や靜に灼くる能舞台
木犀や尼となりたる白拍子
加古氏の俳句は、風景の裏側に投げられている。それは、過ぎた時代であり、積み重ねられた歴史である。句集名になった(花の雨熱きものいま身辺りに)の熱きものが過ぎた時代への想なのである。その重層性が俳句の骨格を作っている。