雨でもないが雪でもない、と思いながら気になっていたが、霰だった。風花ほどの僅かな降り方だったが・・・。特急草津号の車窓から、浅間山だけが完全な雪山姿。
帰りは、浅間とは反対の車窓から、まるで山焼きのような色で夕焼ているのを見た。水平線から雲の漂うあたりまでの、地上低く帯状に染められているのが、山裾が燃えているように思えるのだった。そういえば、これから野焼きや畦焼きがはじまる。
若草山の山焼きもこの一月のはずである。東上線も奥へゆくと、畦焼に出合うことがある。ときに煙の中を電車が貫いていく。渡良瀬遊水地のヨシ焼きもこれからだ。
なぜか火の色には引き寄せられる。一時期火の行事を追って北へ南へ旅行したことがある。全国に火を使う行事の何と多いことか。
昼月や秋にも似たる野火の子等 石鼎 大正6年