飲兵衛さんと

依頼することがあって、飲兵衛さんと高田馬場で飲んだ、と言ってもわたしは舐めるほど。それでもやはり飲んだほうが会話ははずむ。

この居酒屋はお酒を熱燗で頼んでも、あっという間に持ってくる。見渡しても、遠くのほうから徳利を運んでくる。それなのに、注文して後ろ姿を見せたと思う間もなく、熱燗がテーブルに乗るのである。まるで、注文と同時にお燗が始まっているのかと思うほどである。いや、それでも早すぎる。

3本目の徳利がきたときに、拘りやの飲兵衛さんが、なんでこんなに早いの、とたまりかねて聞いていたが、店員は多分、これが普通と思っているのだろうか。困ったような、あっけにとられたような顔をするだけだった。そんなに早くても、徳利は持てないくらい熱いのである。

ここの居酒屋は「ににん」の最後の行き着き場所で、しかも必ず注文するのが昭和コロッケ。そういうと、取って見ようということになった。だが、飲兵衛さんは「どうもコロッケは小判型じゃないと」と難色を示した。ここのは俵型なのである。

「いーじゃない、押しつぶせば小判型になるわよ」と私がいうので、飲兵衛さんは、押しつぶしてから食べはじめていた。うーん、やっぱり飲んだほうが会話が弾むのだ。帰りに飲兵衛さんから貰ったお菓子を居酒屋に忘れてきてしまった。電話して保管をお願いしておいた。

夜になっても暖かい日だった。四月ぐらいの気温だとおもう。明日は雨かもしれない。

  大寒やみごとな雨をちりばめて    石鼎   昭和13年

コメント / トラックバック2件

  1. 飲兵衛 より:

    昨日終電まで飲んだばかりだというのに、今夜も一升は飲んでますね。
    俳人の似合わない町のひとつ青山のファッション通りを吟行し、昼は表参道駅B1出口スパイラル・ビル横の「ナプレ」で世界一のピザを食いながら赤ワインをがぶがぶ。ここのピザはナポリのピザ・グランプリを2年連続ゲットという逸品で、生地が薄くて土手がこんもりもちもちで焦げ目がつくほど焼いてもモッツアレラ・チーズやトマトはとろとろ、バジリコは薫り高く、アンチョビはビシッと効かせて、うまし。ただし、ワインは冷やし過ぎで香りが開くのに時間が掛かりいまいち。
    夜は通りを挟んで向かい側の路地の二階にある秋田の里の味「花ごころ」で、狭いながらも楽しい俳句仲間と、はたはた、いぶりがっこ、納豆おくら山芋合えにアジのなめろう、塩らっきょうに〆のいなにわうどんと、いやあ食った飲んだで午前様。この店飛込みでしたが青山の穴場でした。

      公魚を焼くとて砂糖醤油かな 石鼎 昭和25年

  2. 「ナプレ」ですね。私は生地の薄いのが好きなんですが。覚えておきましょう。

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