榎本好宏句集『祭詩』 ふらんす堂 2008年11月刊

昭和12年生まれ。長年にわたって『杉』の編集長だった榎本さんは、表現に独特のことば選びをしている。それはすでに榎本調と言っていいだろう。

  独活食うて世に百尋も後れけり
  猫抱かせもらふ荷風の忌なりけり
  八重ざくら貧しきころは池へ石
  鷹渡るはずもなけれど遠見せり
  子供らに隠しどころや百千鳥
  糸を吐く夏蚕のほかは真闇にて

なかでも「猫抱かせもらふ荷風の忌なりけり」の句は、忌日の句としても秀逸。なんでもない日常の中に、ふ気がついた荷風忌を呟くように表現している。
榎本さんのお仲間である「件」の方々全員の鑑賞が豪華に栞になっている。

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