荷風

(107)・・永井荷風・・  
迂闊にも、吉田兼好から、永井荷風へ、そして吉行淳之介へと受け継がれた精神の、その後の作家を、高校の先生から聞きそびれた。
しかし、一度だけ手紙を出したことがある。
何処にも荷風ファンがいるものなのである。知人が、昭和二十年の終戦直前の戦火を逃れて、岡山に暮した荷風の足跡を辿ったのである。その取材記事を年賀状も滞っていた先生に送った。
何時ごろの生徒だったかも思い出したのかどうか‥。

ーー(もうそんな、作家に興味はないよ)なんて言わないでください。今だに先生の影響で荷風も淳之介も読んでいるのですから。−−

と言うような内容だったかと思う。先生からは、丁度、横浜の文学館で荷風展を見てきたところです、という返事とともに、住んでいた家の見取り図が手書きで描き込んだ、長い手紙を頂いた。
その手紙を出すときにしても、淳之介に連なる作家を見つけたのかどうかを聞くのを思いつかなかった。かえすがえすも残念なことであった。

(108)・・永井荷風・・  
最近ペンクラブの会場で、会長の井上ひさし氏に出会うたびに、似ているなー、としみじみ眺めてしまう。間近く見れば見るほど、その教師に似ているのである。当時はまだ30歳にもなっていなかったのではないかと思うのだが、10代の高校生には今の井上ひさしくらいの年輩者に見えたのである。
私に、荷風と淳之介を教えてくれた教師も小柄だったからである。
井上ひさし会長と並んで撮らせて貰いたいなーと思っているところである。そうしたら、同級生に見せてあげたいのだ。憧れるような風貌でもなかったが、何故か教師は、男生徒も女生徒も好感を持っていたような気がする。

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