永島靖子著・『秋のひかりにー俳句の現場』

永島靖子著・『秋のひかりにー俳句の現場』 紅書房刊  2008年10月刊

高名な永島靖子氏についての認識は随分前からあったし、雑誌での写真も拝見していたが、実際にお目にかかったのは一度しかない。それも、ごく最近のことである。というのは、
   
     切々と海牛もいまかまひ時     藤田湘子

角川の原稿に挿入したい上記の句の出典が判らなくて、いろいろな人に聞きまくっていたときだ。その折に、「鷹」会員の知り合いが永島氏に聞いてくれたのだ。そのとき、氏はすんなり見当つけて引き出してくれた。師の作品を熟知しているのだなーと感心した。

そんなきっかけがあって、何かのパーテイでお礼を兼ねてはじめてご挨拶をした。知的なもの静かな女性という印象を抱いた。その永島氏から送られてきた散文集はページの初めから魅力的だった。「俳句随想」という控えめな分類になっているが、十分評論集である。師の湘子と同行したときの句、

   揚羽より速し吉野の女学生   藤田湘子

この句にたいする各俳人たちの評と自分の解釈との違いを、並べているのが興味を惹く。それは、「飯島晴子逍遥」の項でも、ともに同じ土壌で、俳句を作ってきたものでなければ語れないことが、随所にあった。知的で静寂な内容である。久し振りに、上質な文章を味わった、という気がしている。

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