恩田侑布子著・句集『空塵秘抄』昭和39年生
栞・三木卓・池内紀・末木文美士・角川書店2008年9月刊
誰も隠しもつ冬麗のふくらはぎ
かがやくは君か冬木か待ちゐたり
国境はすみれさがして風ばかり
一湾の夕日ぼうたん運びゆく
白猫のはらりと枝垂櫻かな
虚実のバランスのあやふさが魅力を発揮している。
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仙田洋子著・句集『子の翼』 栞・筑紫磐井 ふらんす堂 2008年8月刊
この一集は子を生んでからの6年間の作品集である。
さらはれて冬の銀河に佇ちつくす
子を抱けば誰も聖母や流れ星
みどりごをくすぐるによきすすきかな
子にもえらふ虹の回遊切符かな
真正面からの吾子俳句ではなく、遊び心の余裕を見せる楽しい吾子俳句になっている。