保坂リエ句集『七十路の果て』 東京四季出版 序文村上護 2008/7/1刊
消えてゆく噂のやうに桜散る
兜折る七十路の果てのもの思ひ
西瓜買ふ一寸叩いてみたくなる
もしかして今が極楽シャワー全開
まつり見にゆく敢へて人は誘はず
悟りというべきか、解脱というべきか、こんなに軽やかになれたらいいなー、と思いながら読み進んだ。少なくとも、志しているように見受けられた。一
小林貴子句集『紅娘てんとむし』 本阿弥書店 帯 宮坂静生 2008/5/19
熱帯魚どかして棺据ゑにけり
剪定枝たがひちがひにまとめたる
雨音のはじめは葉音藍浴衣
己が革もてあます犀養花天
日時計は捧一本や七竈
梅の香にひたりて人の歩み出す
この世から三尺浮ける牡丹かな
台風裡マッチは箱に頭を並べ
どの句も取り合わせの冴えが、一句の輪郭を際だたせている。