雨女

「雨女」を再認識しなければならなかった。東京駅で新幹線の駅に立ったら、もう土砂降りに雨。これでは花火も出来ないのではないかと思った。横浜あたりでは、その雨の勢いがさらに激しくなって、稲妻が縦に走っているではないか。

ところが、熱海に近くなったら、雨どころか道も濡れていない。何処まで花火を見に行くのといわれて、お宮の松のまん前あたりの別荘だ、といったときに、あのあたりはホテルばかりだよ、言われてそれもそうだなー、きっとそのホテルの裏あたりなのだと思う、と答えたらやっと納得してくれた。

駅で仲間とも落ち合ってとりあえずお宮の松の前で車を止めた。その辺りを見回すと高層のビルばかり。昔からそうだった。だから、その裏へまわる路を探したのだが・・。案内状をみると、目の前の一番大きなビルが、別荘ということになるのだ。ホテルが倒産して分譲マンションに建て替えたのだという。イヤー凄い、このうえない絶好の場所から花火見物をすることになるのだ。

マンションの持ち主は、わたしたち三人のために、わざわざ東京からやてきて昨日から準備をしていてくれたらしい。最上階の部屋に落着くと空しか見えないロケーションで、ひとしきりおしゃべりしているうちに、工事人が増水のマンホールに流されて行方不明というニュースが流れた。

雨女なのだが、その雨がなんだかその日の弾みになるような、一寸不安にさせながら、結局は雨の災いを受けないまま過ぎることがよくある。今回もこんなに都内で騒いでいるのに、雨に会わないなんて不思議だ。きっと、雨女は雨も司るのだ。

いつだったか、鞍馬の火祭りに出かけたときも雨だった。傘を差さなくてはいられない雨の中で火祭りは出来ないと思ったが、案外松明の火は雨に強い。鞍馬の人々は30年ぶりの雨だと言募った。まさか、その30年ぶりの雨をもたらした当人が目の前にいるとも知らずに。

家々の前の篝火は濡れた地面に映って、火が培になったような賑やかな火祭りになった。だから私は、その後の好天の火祭りを見たら、きっと物足りなさを覚えるのではないだろうか。

熱海の花火もかなりな雨でも実行するのだという。幸い雨は、花火の最初から最後まで一粒も降らなかった。それどころか、花火は入江の端を使って打ち上げるので、発射する位置まですべて見えるのだった。いつもだったら、音がして真上で開く花火を待つ時間というものがあるのだが、今日の花火は、発射の直後の小さな火の飛沫が噴出するのまで目にすることが出来た。

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