俳句教室の夜をやってくれないかと声を掛けられたのは、一年ほどまえ。「結社を持ってないから人が集らないわよー」と尻込みしたが、結局五人という最低の人数で出発した。それが、すこしずつ増えて、荻窪の駅続きのビルの中の読売文化センター内で受講者は12人。
半数以上が男性というのも、夜の教室の特徴である。「ににん」購読をしていてくれた人が、広告を見て入会した例もある。前月に集めておいた句稿を無記名で選句用紙に書きこんでおいたのが、当日の教材になる。
俳句は長年かかわったから巧くなるというものではないようだ。毎回とても新鮮でしかも純粋。先月の句会の中で良かった作品を、もういちど次の句会で、著名な人の作品と並べて、鑑賞してもらう。
先月の教室の作品一句と歳時記からの作品。
手のひらに重さのありぬ落し文 上河内岳夫(教室の作品)
落し文夕日の中にひろげけり 原石鼎
落し文ほどけば長き葉なりけり 原石鼎
音たてて落ちしみどりや落し文 原石鼎
落し文遠くて近きものに妻 原田青児
中堂に道は下りや落し文 高浜虚子
今回の一句「手のひらに重さのありぬ落し文」が先月の秀逸に選んだ句。みんなで飲み屋でわいわいしているときに、この中では虚子のが一番下手だよね、という結果になった。なぜかというと、取り合わせの句は他の季語でも成り立つから、という結論になった。