夏石番矢著『連句 虚空を貫き』 七月堂刊
夏石氏の作品で覚えているのは、(千年の留守に瀑布を掛けておく)の句である。
夏石氏のいう連句は連詩と同義に考えてもいいのだと思っている。
一頁に一句、それに番号が付されて100韻で完結。
奇数の俳句はカジミーロ・ド・ブリドー氏。のポルトガル語。そして偶数が夏石氏の作品。お互いの作品はそれぞれの母国語に訳されている。さらに二人交互の連句は英訳と仏訳も付されて世界に発信されている。
13 逃げよ、蝶!
人間らが来る
軍隊が カジミーロ・ド・ブリドー
14 ヒロシマという語
蝶より
重からんや 夏石番矢
15 瀕死の獣
地球まだ
燃えまだ飛んでいる カジミーロ・ド・ブリドー
16 磁気嵐
地球は
わが家に帰れるか 夏石番矢
やはり、三行詩として感受すればいいのかもしない。
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ブソン青眼句集『渡り鳥日記』
マブソン氏とは二年ほど前に角川の「俳句」誌の座談会でご一緒したご縁で、句集を頂いている。今回は彼の第三句集。第一句集から自筆の句集で、今回もそれを踏襲している。印象としては、気ままになったというのが適切のようだ。遊びの一つが本家取りを意識して創作していることである。
姫塚や月は東に陽は西に
あら尊と青田のナイルに日の光
小春燃えカイロいっぱいの子供かな
もう一つの特徴は、語音に触初されながら、言葉を引き出している。この分部でも、やはり遊びの特徴が出ている。