角川俳句大歳時記から

角川俳句大歳時記「ににん」の収録句

岩淵喜代子 句集「朝の椅子」より
月山の木の葉数えて寝ねむとす
滲み出てくる鶏頭の中の闇 

句集「螢袋に灯をともす」より
カステラと聖書の厚み春深し        
にはとりは春の嵐の下くぐる     
朝日にも夕陽にも山笑ひけり     
大空の端は使はず揚雲雀       
噴水の虹は手にとる近さなる     
蝙蝠やうしろの正面おもひだす     
逢ひたくて螢袋に火をともす     
みほとりに鳴子の縄をめぐらしぬ

句集「硝子の仲間」より
雛流す水を選んでゐたりけり     
北窓を開きて皿を白くする      
生きること死ぬことそれより鰊群来   
髪洗ふ頭を垂直に阿波の国      
空蝉も硝子の仲間に加へけり      
緑蔭を大きな部屋として使ふ     
座を蹴つて帰るや紫蘇の香をはなち   
上海語北京語秋の深みゆく       
流木に手足のありし秋の浜       
穂薄も父性も痒くてならぬなり      
対岸の崖にままこのしりぬぐひ      
星を打つ矢を何本も熊祭         
同じ灯をみんなで浴びる牡丹鍋      
大鷲に緋色の岩をあたへたし       
牡丹供養はじめは闇を焚きにけり     

 


  草深昌子 句集「邂逅」より
  地蔵そば地蔵煎餅松過ぎぬ           
  田遊びのごたごた言ふが唄らしき
  鮭打つや一棒にして一撃に  

 


  辻村麻乃 句集「プールの底」より
  踏絵から先祖逃れて夫のあり             

 


長嶺千晶  

句集「晶」より
ボロ市や空を映して鏡売る   
春陰や煙草の匂ふ友の辞書   
こまやかに魚食ふ父や春の宵  
囀りや詩は垂直に愛を告げ

句集「夏館」より
桃畑ぬけてやさしくなれさうな
真夜に覚め夢に色ある鏡花の忌
引く波を押しあぐる波鷹渡る
苦瓜やぶらさがるものみな愉し 

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