正津勉著『小説 尾形亀之助』 窮死詩人伝  河出書房新社 刊

正津さんの好きな作家はいつも破滅形のような気がする。しかも、この亀之助は東北の大きな造り酒屋の生まれ。そんなところの家庭背景も自分に似ていて魅かれる要素になっているのだと思う。もう一つの好きな理由は、亀之助が放蕩無頼であるからだ。どちらも、正津さんの憧れなのである。破滅型と放蕩無頼に憧れながら詩を鑑賞し、詩人の生涯を小説化していて面白い。

      から壜の中は
          曇天のやうな陽気でいつぱいだ

     ま昼の掘る男のあくびだ

     昔ーー
     空びんの中に祭りがあつたのだ  「無題詩」(『色ガラスの街』)

紹介されている亀之助の詩から、もっと詩が読みたくなり、せつなくなる。        ににん 
 

 

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