個人誌『GA』に連載していた赤黄男の鑑賞を纏めたもの。一句を見開きで鑑賞している。もともと赤黄男をしっかり読んだことがなかったので、秦さんの雑誌で富澤赤黄男の俳句を味わってきていた。赤黄男の作品は一行詩と呼ぶのが相応しい。好きな作家である。その赤黄男を秦さんはいつも自分の内側に呼び込んで鑑賞している。
切株のじんじんと ひびくなり
ここでは、赤黄男の句はなぜこんなに哀しいのだろう、と問う。
一本のマッチをすれば湖は霧
このマッチを擦るという行為で何を思い、何を感じたのだろう、と問う。
紫陽花は おもたからずや 水の上
なぜ、自分が赤黄男の句に惹かれるのか、と問いながら鑑賞する。
こうした書き様が、秦さんの文学観を語っているのである。
随分前に頂いたのに、読むのに時間がかかってしまって、紹介が遅くなってしまった。 ににん