耕治人

  懐かしいなー。耕治人の「そうかもしれない」が映画化され、30日から公開されるようである。
出版されたのは、20年くらいになるだろうか。「天井から降る哀しい音」の後に書かれた、この物語は、耕治人自身の夫人との実生活である。
認知症になりつつある家庭生活を描いたのが「天井から降る悲しい音」。
「哀しい音」とは、妻のために、市が取り付けてくれた煙センサーの鳴る音である。
妻の症状がさらに進んで、しかも、耕治人自身も癌に侵されて入院していく過程を描いたのが、「そうかもしれない」なのである。 

 認知症の妻を施設にあずけて入院した作家のもとに、或る日、妻が見舞いに来る。
連れてきた施設の職員が「あなたのご主人ですよ」という。
すると夫人は静に「そうかもしれません」というのだ。それが題名になっている。
哀しいのに優雅な題名だ。耕治人夫婦を演じるのが、桂春團治と雪村いづみである。
 そのせいか、NHKテレビの朝番組に雪村いづみが出演した。久し振りに見たせいか、
ずいぶん老けたなと感じたが、あたりまえなのである。70歳に近いのだから。 

 それでもやはり、同世代として、年齢を重ねてきたものにとってはショックである。自分の前に広がる風景は納得してしまうのに、向こう側から見る風景は、なかなかうべなうことが出来ないのである。

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