句集のための整理

出版社に返事をしてから随分月日が経つ。途中「まだですか」と何回も催促されながら、一向に捗らないのは、自分の句が見えなくなっているのかもしれない。句集を作るということが今回ほど躊躇われたことはない。集めてみても消したい句ばかり。消してばかりいたのでは句集にならない。

その混濁を振り切るために、それほど面識があるわけでもないS氏に帯を書いて戴きたいとお願いした。断られたらやはりコツコツひとりでまとめるしかないと思っていたら、「いいですよ」というお返事を頂いた。それを弾みにして、一気に纏めようと思ったが、その後もやはり句集のまとめ作業は遅々としていた。

祝賀会で出会ったS氏が「あのお話は継続しているんですか」といわれてしまうくらい、日が経っているのだ。それからもまた遅々作業を続けてきたが、今日やっとまとまってきた。それに比べると、第三句集「硝子の仲間」はなんと安産だったことか。それも、三年分の句しかなかった。少ないほうがいいのだろうか。

句集の整理は遅々としていたが、ただ、何故かいつも句集名だけは、迷うことなく決っていたので、自分の覚悟のために発表しておこう。

    嘘のやう影のやうなる黒揚羽蝶

この句から句集名は「嘘のやう 影のやう」にした。句会でも、ににんの人達の「秀句よりどり」の場でも、誰も通り過ぎていた句である。同じ号で誰もが選んだのは、「鬼灯の中は空っぽ耳鳴りす」だった。しかし、鬼灯の句は最終的には、句集から落としている。

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