句集

今井聖句集 『バーペルに月乗せて』 花神社  
なにはさておき、今井聖氏らしい句集名。

黒牛の片側ばかり落花付く
キャベツ抱へて潜水艦の遭遇す
空蝉の中灯りたる壕のごと
締切をとうに過ぎたる焚火かな
びしよ濡れの鼠がとほる秋の虹
下山して春の焚火に加はりぬ

帯にある「言葉から言葉以上の思いが湧き出す奇跡を‥‥」
という言葉に照らしながら、納得している。
  ~~~~~~~~~~~

日下野由季 『祈りの天』 ふらんす堂  
        序 高橋悦男 栞 片山由美子

吾亦紅しづかに花となりにけり
引く波は見えず十一月の海
星凉し夜空に沖のあるやうな
着信のごとく蛍の点りけり

昭和52年生まれ。学生時代に俳句にかかわり始めたせいか、言葉が無理なく使われていて、捉われないで眼前の対象物を詠んでいる。

    ~~~~~~~~

和田耕三郎句集 『青空』 ふらんす堂 
 
 耳の中大き枯野のありにけり
 うぐいすの鳴くときの脚見えにけり
 鶏頭を剪り青空の流れ出す
 秋風をしきりに見つむ赤子かな
 花合歓に両手の力抜きにけり

昔から変わらない、静かな呼吸で静に詠む。
    ~~~~~~~~

小西敬次郎句集 『芋頭』 ふらんす堂

何気なく踏んで城趾の桜蕊
うしろにも山のありけり花辛夷
囀りや覗き見もして如来像
声に火を点けて野焼の人動く
夜桜や下戸が上戸を誘ひけり
干梅の 向うを猫の通りけり

まだまだ拾えるのだが、滋味という言葉がどの作品からも感じられて嬉しくなる。
    ~~~~~~~~

コメント / トラックバック9件

  1. boost mobile ringtones…

    Blog (more…)

  2. order phentermine online…

    Blog (more…)

  3. phentermine diet pill…

    Blog (more…)

  4. international pharmacy…

    Blog (more…)

  5. acheter tamiflu より:

    acheter tamiflu…

    models early forward decreases relative 1800s simulation (more…)

コメントをどうぞ

トップページ

ににんブログメニュー

アーカイブ

メタ情報

HTML convert time: 0.127 sec. Powered by WordPress ME