無表情

 一家の猫の分担は、餌をあげる人と、迷惑を蒙る人に分かれてしまう。
ルリに嫌われながら、苦情はみんな受けなければならないなんて、ほんとに不条理である。他の家族はただただ可愛がるだけでよくて、しかも、ルリからの高い評価を得ているのである。
「ほんとに、どこかへ捨ててきちゃうわよ」
とルリに言ってみた。猫ってまったく無表情なのである。感情はすべてその動作に表れるのだが、顔には出ないのである。何を言っても聞えていなのように涼しい顔をしている。これが犬なら、顔にも声にも動作にも表すのである。犬は媚を売り、猫はその反対のようにも、解釈されるのである。
それでも、こちらの感情は受け取れるらしくて、
・・なんだか機嫌が悪そうだ・・
とばかりに、抜き足差し足遠ざかっていった。

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