猫を投げ落とす・

(78)・・猫を投げ落とす・・   
 「ルリ! フワちゃんに近づくな」
 と、連れ合いはルリを引き寄せた。
 そう言ったので、この飲み友達は猫嫌いなのかと思った。
 「フワちゃんは残酷なんだ。迷うい込んだ猫を事務所の二階から抓み出したんだ」
 「どうしたの、猫は」
 「死んじゃったよ」
 猫嫌いの上に残酷なんだ。
 「いくら何でもあれはないよなー」
 連れ合いは、まだその時のショックが残っているようだった。
 「だって、死ぬとは思わなかったよ」
 「まだ子猫なんだよー」
 淡々と凄いことをやる人もいるものなのだ。

(79)・・虚構・・   
 ごく私は最近になって村松友視の「あぶさん物語」を読んだ。その中に少年の頃、可愛がっていた猫を何回も屋根から落して遊んだ思い出の場がある。三回目には、猫のほうが必死の拒否反応を見せて、少年だった村松友視の手を逃れていったのである。
 猫は本来は、反射神経が優れていて、床から数十センチのところから落としても、完全に起き上がって、足から着地するのだ。
 しかし、やはり、今飲み友達の話を思い出すと、村松友視の小説のあの場面は虚構かなー、とも思ったりした。

(80)・・O型同士・・   
しかし、フワちゃんと私は波長があうのである。
 連れ合いが、うちのは白菜漬けを作ってくれないから自分で漬けるんだ、と言わなくていいことを、口にするのだ。
 「奥さん、漬物きらいなの」
 「食べるのは好きよ。でも漬けるのは嫌いなの」
 この説明がスーと通じるからである。
 こんな簡単な言葉が大方の人を混乱させるのだ。
ーー食べるのがすきなら作るーー 
 たいがいは、この方程式以外には理解しないのである。
 フワちゃんもわたしも、連れ合いもO型。

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