飯田晴第二句集『たんぽぽ生活』 2010年8月  木の山文庫刊

 つまみたる山を春野に下ろしけり
 たんぽぽは誰の子といふでもなく
 春の暮町はつながりあうてをり
 知つてゐるやうな桜になつてをり
 蝙蝠の夕べ電信柱立つ
 陶枕の夢に遅れてくる日暮
 椅子の背に木の固さありクリスマス
 炬燵寝の顔が大きくなりにけり
 クレソンの根元を通りすぎる水
 一日に終りがありて胡桃割る

水彩の童画のような風景がつぎつぎに展開されていく。自在な言葉使いの出来る作者だ。なんでもないない日常の風景を組み立て直して、虚実皮膜の世界を語りはじめる。「雲」同人。

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