現代俳句鑑賞 評者 金田美穂
急行の速度になればみな枯野 岩淵喜代子
「俳句」二月号より
誰もが経験している車窓の景であるが、つい見逃がしてしまいがちな事柄を詠んでおられる。ゆっくりと走り始める時などは、枯れ草の中にも、それぞれの花や青い葉を目視することも出来ようが、速度をあげて窓の景色が流れは
じめると、枯れ一色となってしまう。日常の生活の中において、人と異なる所に目を配る大切さを改めて肝に銘じた。