須原和男句集『国原』    2010年4月刊

  金閣の金もろともに水ぬるむ

 水に映る金閣の 金、それがときどき風にゆらいだりしながら、あくまでも金色を失わない池の水。金もろともには、言いえて、格調のある句である。『貂』同人。

   菜を洗へ布をさらせと春の滝
   金閣の金もろともに水ぬるむ
   国原に水あまりをり残る鴨
   そこまでは杖のとどかぬ浮紅葉
   八月の蟻に遅れてあゆみけり
   いろいろの帯が行くなり里祭
   みしみしと二階から来て成人す

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