年月を経て

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或る日ルリが血相変えて、家の中に飛び込んできた。
血相変えて、とは言ったが猫の表情など見えるわけではない。
しかし、いつもの風呂場から、物凄い勢いで飛び込んできたのである。
そのことだけでも、常にないことだったが、その後から、別の猫が追いかけてきたのには吃驚した。
十数年のあいだ、他所の猫が家に入り込んできたことなどなかったからだ。それどころか、家の周りの散歩も許さなかったはずなのである。

追いかけてきたのは親愛の表現ではない。明らかに、いじめである。
動物というのは、見合っただけでお互いの強さを感知することが出来るのかもしれない。
追いかけてきた猫がいままでの猫より特別強いというのでもないのだろう。なんと言ってもるりは、自分の何倍もある犬、しかも、人間が散歩させている犬にさえ向っていく怖いもの知らずだったのだから。

私の胸倉を掠めるかのように二匹の猫は部屋へ突進していった。
入ったかと思うと、逃げ回るルリを、追いかけるのだが、その勢いは目で追いかけられない。
箪笥の上に上がったかと思うと、反対の障子に体当たりをしていくという風で、自分の身を避けるのに必死になるしかなかた。
手近にあった雑誌を振り回して、やっと追い払ったときには、廊下に猫の毛が散乱して、箪笥の上の箱が床に散乱していた。

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