子規新報に連載していた「虚子百句」をまとめたものである。こういう本が文庫本であることはありがたい。折に触れて一句だけを読み、また折に触れては読み継ぐというのに適しているからである。
本書は一句の鑑賞を一ページづつに纏めている。はじめに俳句に書かれた一七文字を作品鑑賞、後半は作品成立の事情を書いている。
虚子という作家の偉さは、こうして100句選んだときのどの句も優れているからである。もちろん著者の百句を選ぶ選句眼ということもあるが、百句の隅から隅まで秀句というのは虚子以外にもあるだろうか。