締切日

昨夜ベランダから往来をみていたら車の光の中に雪が舞っていた。かなり大きな牡丹雪だったので、少しは白くなるのかなと思った。外の雪の気配を感じながら家の中ではようやく、客用の寝具の手入れが済んだ。娘たちが手術日に泊ったときのままになっていたものだ。やっと和室がすっきりしたところで、ふたたび外を覗いたが、ちらとも雪の痕跡がない。錯覚だったのだろうか。

もう一つの締め切りがある。と言っても原稿ではない。連れ合いの退院に伴う我が家の受け入れ体制である。そう言うと特別な環境を整えなくてはならないように受け取られてしまいそうである。要するに入院前の状態に我が家の環境を戻さなくてはならないのだ。

独りでいると、家中がきりもなく私室化してしまうのだ。それまでリビングの隣が私のパソコンを使う部屋だったが、ひとりになるといつの間にかリビングにはみ出してしまっていた。ノートパソコンの簡易さと無線の便利さが加わったから余計自在に移動できるのだ。真ん中にテーブルを据えると、その周りを砦のようにいろいろなものが重なっていくばかり。毎日、そのテーブルと部屋の端に置かれている食卓の間を行き来する怠惰な暮らしになっていた。しかし、月曜日が退院と決まったので書斎を後退しなければならない。

ほんとうはもう一つ締め切りを決めないといけないものがある。もう長いこと家じゅうの襖の張り替えをしなければと思っていながら果たせない。経師屋は我が家から数分のところにある。一声かければ済む簡単なことなのだ。しかし、家じゅうの襖を外すということは、家じゅうの押し入れが裸状態になるわけだ。別に見られて困るようなものもないのだが、少しは整理が必要なのだ。その一事ができないために経師屋さんに依頼にいけない。

ほんとうは、連れ合いの退院日のように経師屋さんに依頼してしまえば、それが締め切りになるだろう。しかし、人生の締切日は何時になるのかわからない。角川書店の新年会でお目にかかったばかりの山田弘子さんが亡くなった。俳誌「円虹」主宰、「ホトトギス」重鎮だった。

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