須川洋子句集『水菓子』  2009年12月  角川書店刊

 須川さんとはいつからのご縁だったか。どちらにしても、まだ「季刊芙蓉」は創刊されていなかったから、20年以上も前ということになる。率直な会話をする人はいくらでもいるが、その言葉使いがいかにも天真爛漫な「江戸っ子」を感じさせていた。句集のプロフィールを開いてみて、やっぱり江戸っ子だったと再認識した。『水菓子』は『栞ひも』『小鳥来る』に続く第三句集である。

  花の蜜舐めてわたしも飛べさうに
  哄笑すセイタカ泡立草の群
  秋のこゑ鏡の奥にまた鏡
  失敗の龍勢舁ぎ花野道
  ドトールや煤逃げらしき冬帽子
  小春日の大きな蠅を叩きけり
  象の胴に象舎の影が秋の風
  魔女の靴ずらりと春の飾り窓
  マイクでも使ひゐるかに牛蛙
  片蔭をはみ出してゆく犬の影
  秋は夕暮ケータイから目を上げよ
  室咲きやすべては明日考へやう

 好みの句をあげてゆくと、ドゥーグル・J/リンズィー氏の言う(「生きること」について、さらりと、しかし深く追求している‥‥)という帯文に繋がるのである。

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