『笹』主宰・伊藤敬子

受贈俳誌より ―感銘の一句ー   筆者 大平和男

  一隅に火星黄色く刈田道      岩淵喜代子

 火星は地球のすぐ外側をまわる惑星で、地球との接近時にはその赤く不気味な印象の輝きが、どの惑星より人目を引くものである。1997年の探査機の映像では赤ちゃけた大地に遠く山脈も鮮明に映り、調査では地球と同じように四季の変化もあり、将来移住するとしたら最も可能性の高い惑星と言われている。そんな火星は古代より人類に親しまれていて、ギリシア神話ではアレスの名で農耕の神として崇められていたのである。
 揚句は稲を刈ったあと寂しくなった刈田道で作者は空の一隅に黄色く光る火星を発見し、稲作の豊作を神に感謝された一句であるが、火星への人口衛星の旅を思われたのかもしれない。            「ににん」秋号より

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