永島靖子第三句集『袖のあはれ』  2009年9月  ふらんす堂

 あとがきを「俳句は象徴詩である」ということばから書き始めている。20年の年月を凝縮した一集である。今回の句集は、どこを切り取ってもかまわないような静謐な作品が並ぶのは、その二十年という年月の中から整理されたものであるからかもしれない。

   さらはれるなら春雪の畦をこそ
   薔薇の字を百たび書きぬ薔薇の季
   蜘蛛の囲の向う団地の正午なり
   戦争があり大甕に八重桜
   白昼はさびし砂場の雀の子
   廃駅あり冬の落暉を見るために

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