‘受贈著書’ カテゴリーのアーカイブ

受贈句集から

2007年1月2日 火曜日

小澤克己著『星空とメルヘン』 句★解説★英訳 小澤克己     絵  澤田展駒★芳慕  
『遠嶺』主宰の小澤氏が最近発行した上記の本は、そのタイトルのごとく絵本である。色鉛筆で書いたものだそうだが、かなり緻密な筆致と色彩で、説明を読まないときには、油絵かと思った。 
大方は見開きページの絵に一句が付されている。タイトルのごとくメルヘンチックな絵は、癒し系。
「昔からあたためていたテーマ〈星とメルヘン〉の自作を百句ほど抽出し、その中から十五句を選び、題名をそのまま前回、妻(小澤とくえ)の句絵集『絵本のように』でお世話になりました色鉛筆画家の澤田展駒・芳慕ご夫妻より素晴らしい絵を頂きました。‥‥」
と小澤氏ご自身のコメントがある。
この絵と俳句のコラボレーションの中で、一番好きだったのは、 星と星指でなぞれば祭来る の句とその絵である。円い丘のような高みに坐った幼子二人の周りには、二人の脱いだ下駄があり、猫が幼子の指さす空を見上げている。その空はと言えば、金魚が流れて、馬車を曳いた牛がいる。まるで、それらの空を飛ぶものは、「祭来る」の句に呼応するかのようだ。


鈴木直充句集『素影』 第一句集本阿弥書店「春燈所属」昭和24年生
紅梅の闇白梅へ流れけり
鶏頭のぶつかり合うて紅ふかむ
虫籠にかぶせてゐたる帽子かな


竹内知子句集『おもかげ』 第二句集 序文倉橋羊村 角川書店刊「波同人」大正12年生 
生涯に恋一つのみ亀鳴けり
木枯の日暮の声に松の瘤
花の散るこの静けさのゆゑ知らず 


柴田深雪句集 『間祝着』第一句集 序文 茨木和生 ふらんす堂刊「運河同人」1930年生牡
蠣殻の山を崩せり恋の猫
狼祓ふ年縄を田に張りにけり
畑を焼く棒を離さず漢立つ


星野光二句集『透明』水明主宰 昭和七年生
煙突の煙は透明麦青む
三月の入日木立を突きぬけり
闘ひも恋もあるらむ虫の闇


岡本眸句集『午後の椅子』 第十句集 「朝主宰」 ふらんす堂
薮巻の新しければ翔つごとし
枯木みて昨日と今日をつなぎけり
子の部屋にクレヨン借りに秋の蝉


黒川宏句集『山稜』第一句集 鹿火屋同人 昭和八年生
夏祭渡りて橋の数ふやす
ひとりづつ庭へ出てゆく子規忌かな
貧しさの真赤に吊るす唐辛子


谷さやん句集『逢ひに行く』第一句集 昭和三十三年生 愛媛生「藍生」「船団」「いつき組」会員 序文黒田杏子 帯 坪内稔典 富士見書房
春光の鳩に何にもやれぬなり
天道虫たたみし羽のはみ出たる
教室の空白といふ草いきれ
引よせて通草の花のみな落つる
鉄棒の匂ひを洗ふ夏の雨


大崎紀夫句集『榠樝の実』第二句集1940年生
芍薬のはなの崩るる日なりけり
鶏頭をみるたび数へいたるかな
動かざるのみとなりゐる冬の犀

2冊の句集

2006年12月9日 土曜日

辻村麻乃句集「プールの底」角川書店刊
山口紹子句集「LaLaLa」文学の森刊

 この二冊とも、身近な人が装丁している。辻村さんは友人の絵。ブルーの表紙の真中に田園を走る電車の絵を小さく収めているのが爽やかである。この一集に子育てが詰まっているといってもいい。

しつかりとおままごとにも冬支度
この句がその面目躍如の感。

摘むうちに少女消えゆく蛇苺
いつからか叔母が嘘つく花曇り
偶数になつたら晴れる草雲雀
裸子を追ひかけ雲のタオルかな

 山口さんの句集は、一瞬絵本かとおもうような装丁で、手にのるハガキ大の句集。薄紫の地に鉛筆に跨った魔法使い。しかもこの句集は所属も略歴もない。もちろん住所も年齢もない。後書きによれば、何も書かないことが希望だったようだが、それではあまりに失礼かとも思って、という書き出しで、句集を作る経緯を語っている。それによれば遺句集にならないようにという家族の言葉に背中を押されたようだ。爽やかな覚悟と意思を持っている。

陽炎をよく噛んでゐる駱駝かな
特に掲出の句の駱駝の捉え方のうまさに感心。

おぼろ夜のおもはず白き脹らはぎ
いちまいの空干されをり野分あと
寝返りてこの世に戻る虫時雨

2006-09-16 08:52  nice!(0)  トラックバック(0)

 

一日句集を読んで

2006年12月7日 木曜日

島村正氏 句集「未来」より
    雨脚も風脚も見ゆ大青田
    神杉に立てかけ障子洗ひゐし
————————
茨木和生氏 句集『畳薦』
    一点のごとく小さな菌かな
「畳薦』(たたみこも)のことばをあらためて認識した。さらに、何気なく見ていた茨木氏の住居が豪族平群氏の拠点。やはり奈良は奥が深い。冒頭の作品、「一点」という言葉の効果に驚く。言われてしまえばそれまでの何気ないことばであるが、それ以上の表現がないリアルな措辞
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伊藤敬子氏 句集『白根葵』
俳人協会訪中団の一員として中国をご一緒してから二十年近くになるのだが、昨日のような気がするほど伊藤敬子氏は変わらない。きっと一緒に年齢を重ねているからだ。
    揉み合ふて急ぎゆくなり雪解川
    無言にて籠へと疲れ鵜を封ず
    雪渓に日の当りゐて仰ぎをり
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
須佐薫子氏 句集『聖徒』
    音立てて身ぬちの銀河流れをり 
    不知火も見世物小屋も消えにけり
    冬麗や豆腐屋いつも片付いて
何気ない言葉で、不思議さを見せる句が好きである。中でも「不知火」の句に惹かれる。

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