誰も彼もが、決まったパーンの句集を出さないで、こんな楽しい本を出してはどうだろうか。文章と俳句の相乗作用で楽しめる。まずは、「高三郎と出会った日」というタイトルが楽しいではないか。なんとなくページを開きたくなる。
その楽しくさせることが、坪内稔典氏の狙いでもある。坪内氏の話題になった俳句、例えば「三月の甘納豆のうふふふふ」が出来た経緯。これは「二月には甘納豆と坂下る」「四月には死んだまねする甘納豆」「五月きて困ってしまう甘納豆」「甘納豆六月ごろごろごろついて」の同時発表した中の一句が一人歩きしたようである。たしかに、中では一番不思議さがある。
さて、タイトルになった「高三郎に出会った日」は物語が書き込まれているわけではなく次の一句が挿入されている。
月欠けて高三郎と出会った日