柴田佐知子『垂直』第四句集   2009年6月 本阿弥書店

1949年生まれ・「空」創刊・「白桃」同人
人生の深淵をちらりちらりと見せることが、奥行きとなっている。その深淵も写生を基本にしていることで、説得力を持つ。

    秘すことのはじめ手毬を背に廻し
    恐ろしきことも数へて手毬唄
    風船を持ち青空に招かれし
    母よりも箒が高し冬桜
    蟻地獄すべりし跡は蟻が消す
    黙りこむ男のやうな蝸牛
    箱眼鏡覗くこの世に誰もゐぬ

中で一番と言われれば下記の句になる。何でもない風景である。ほんとうは、いつも橋は架かっているのだが、レトリックが利いている。  

    どの橋も夜凉の水に架かりけり 

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