現代俳句月評 中村鈴子
「俳句四季」四月号、「白亜紀」より
尾があれば尾も揺れをらむ半仙戯 岩淵喜代子
甘茶仏人の目線に据えらるる
一読して成る程と思う。周知のように人間には尾の名残の尾骨がある。進化論で言えば遥かなる先史時代もしブランコがあったら尾も揺れていただろう。着想の斬新さに脱帽すると共に心を楽しませる句である。
二句目は認識の句。言われてみればその通りで甘茶仏は誕生仏でもあり又人々が甘茶をかけるのに都合が良いようにか、それほど大きくしない。しかし「人の目線に」というフレーズはそう簡単に出ない。見慣れた景でも、その視点と自分の言葉による表明でかくも新鮮な句が出来る事を教えられた。