山元志津香第二句集『極太モンブラン』 2009年4月  本阿弥書店刊

  1934年生れ 「天為」同人・「八千草」主宰         栞・小澤克己

    桐一葉ちから抜くこと覚えけり
    寒灯をすこし脚色する自伝
    春はあけぼのなぁんてトースト焦がしてる
    水母見し夜は家中が漣す
    水割りの氷ゆさぶる夜の霧
    クリスマス家々みんな玩具箱
    初簾外からわが家の中を見る
    難しき貌の鮃は裏返す
    大驟雨ひつくり返る逗子海岸
    石鹸を洗ふ日もあり芋嵐
    海底の愚痴をきくかに喰む海鼠
    押す風は返す風なり葛の花

思惟的な「桐一葉」「初簾」「石鹸」「海底」と、感覚的な「水母」「クリスマス」「大驟雨」など。そして諧謔的な「春はあけぼの」と多彩な作り手である。
もともと、志津香氏は連句に造詣が深い。連句の諧謔から学んだものが、作品への膨らみとなり、収まりかえってしまいがちな俳句形式を揺さぶっている。「春はあけぼの」などにその連句の影響が顕著。

コメントをどうぞ

トップページ

ににんブログメニュー

アーカイブ

メタ情報

HTML convert time: 0.108 sec. Powered by WordPress ME