十二月八日太平洋の安らけし 遊泉
コンビニの洋食並ぶクリスマス 智弘
りんごの木植ゑて洋々たる老後 たんぽぽ
牡蠣燻す太平洋をぎゅっと詰め shin
家々に洋室和室餅飾る 祥子
花びらを浮かべて何処へ太平洋 半右衛門
花やつで西洋菓子屋は入院す 三千夫
海鼠食み太平洋の果て偲ぶ acacia
外洋に視線龍馬の懐手 ヒデ
巻き爪を切る大伯母の洋間かな 石井薔子
極月や父のにほひの洋箪笥 坂石佳音
枯葉踏み洋画女優のごと歩む 戯れ子
狐火の迷うべからず太平洋 半右衛門
港燈も巡洋艦の灯も寒し たかはし水生
黒鍵の響く洋楽返り花 雨宮ちとせ
骨壷の茫洋白き冬の夜 潅木
雑煮椀おんな四代洋々と 祥子
山眠る宿に古りたる洋間かな 森岡忠志
散骨の太平洋に初日かな 智弘
手際よく洋間ベランダ豆を撒く 町田十文字
十二月八日太平洋燃ゆ 森岡忠志
春潮に洋酒瓶より白き船 祥子
茫洋とゐて憚らず昼炬燵 石田義風
初春や太平洋から霧笛あり たか雪
初富士の根は大洋に迎えられ 恵
鋤焼きに洋服掛けの見当たらず ハジメ
樟脳の香り冷たき洋箪笥 半右衛門
西洋銀座を三万人の余寒かな 秦
銭湯の太平洋に柚子浮かぶ 半右衛門
草紅葉試飲洋酒が舌を這う 智弘
太平洋見下ろす宿の根深汁 半右衛門
大漁旗父太平洋に戦敗れ 高楊枝
大空を洋凧和凧はぐれ雲 はる
大洋へ東国原知事櫓を漕ぐ 高楊枝
第九聴き和洋折衷障子張る 十文字
長靴と太平洋と春を待つ 曇遊
滴るを食む洋なしの柔き肉 桂凛火
冬茜無人の洋館明るうす 銀の星
冬晴や巡洋艦に指鉄砲 siba
冬帽子洋酒の並ぶ地下酒場 こうだなを
東洋の大遺跡背に大噴水 海苔子
読初の東洋人が犯人で 猫じゃらし
日脚のぶ洋間に誰もいなくなり 半右衛門
煤払読まぬ洋書は捨つべきか 祥子
肌脱の洋行帰りの荷風かな 祥子
風花や音軽やかに洋鋏 たんぽぽ
母の自慢祖母の洋装煤払ひ 高楊枝
明け暗れの洋に一点冬灯 西方来人
綿虫や外洋からの殉教者 ミサゴン
綿蟲の内緒話に茫洋と 半右衛門
洋もくのマドロスパイプ浜の春 町 田十文字
洋一字賀状一杯書きにけり acacia
洋花の長たらしき名風光る たんぽぽ
洋菓子のペコちゃん好きよ春を待つ 曇遊
洋菓子も和菓子も好きで炬燵番 祥子
洋館が夢二の詩に光る春 曇 遊
洋館に嫁いできたる嫁が君 ハジメ
洋館に憧れし頃根深汁 たんぽぽ
洋弓を手に取り持つや枇杷の花 愚蛙
洋行と言いし昔のつばくらめ 三千夫
洋傘を蝙蝠という冬時雨 半右衛門
洋室の窓をよるべに冬薔薇 横浜風
洋燈のぼんやりともる雪の街 たかはし水生
洋々と伴侶見せ来る寒雀 愚蛙
洋梨のワイン煮好み白寿なる 石井薔子
洋梨は母のかたちぞ日向ぼこ mako
凩や洋酒の瓶の転がりぬ 海音
茫洋と息子の佇てり毛皮着て 戯れ子
ダンデイーは洋行仕込み生身魂 岩田勇
海猫渡る遠洋漁業鮪船 曇遊
極月の内田洋行本社ビル 乱土悲龍
どれどれと洋間に作る置炬燵 祥子