この著書は、角川の『俳句』総合誌に巻頭の文章として二年間ほど連載したものを主軸にした一集である。以前に紹介した「休むに似たり」の評論集と同様の文体である。この文体はまた、これまでの俳句の文体にも通じる独特のもの。
その文体は一章ごとのタイトルにも及ぶ。
送り火のあとも思うわよ
二月に子を産んだことがある
鯉幟はすぐからまる
ぼうたんのあとはほーたる
狼は松茸に痺れたか
こんな面白いタイトルが並ぶ本がいままであっただろうか。これだけでも、魅力のある書き手であり、人生の見方を感じさせる。