「ににん」32号は現在印刷所 に入っている。この号では、宇陀草子氏の『吉野口』特集がある。彼は昭和35年に「南風」の山口草堂が最初の師であるから、かなりな句歴である。そのあと「秋」の石原八束・「鹿火屋」の原裕には亡くなるまで師事していた。吉野に在住の作家である。
小走りに人ゆくおぼろ宇陀郡
稲架解いて亀石に日の当りけり
猪撃ちの腰にはねたる守り札
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長嶺千晶 『つめた貝』 ふらんす堂刊
もう来年の話題をするのは笑われそうであるが、次の「ににん」33号は長嶺千晶さんの第三句集『つめた貝』の特集になる。しなやかな、さわやかな作品が並ぶ。1959年生まれ。
日向ぼこして遠き日の吾に逢ふ
浮び合ふことの楽しき冷し瓜
チェーホフの享年を生き冬木の芽