帯文 山の草木、鳥獣虫魚と戯れる
草木を分け、岩土を這い登る
視線は小さきもの、はたまた
見晴かす稜線や雲の流れへーー
山で出会った全てを慈しむ待望の詩集
『遊山』に続く六年目の詩集は、やはり山野の鳥や虫やらに焦点をあてた作品、というよりも、その鳥やら虫に語りかけている作品がならぶ。初期の鮮烈さとはちがう、正津勉の呼吸というよりも、吐息のようなものが、流れている。
あとがきで、著者自身が、~~ ー第一詩集「惨事」(1972年)の後書きに書いた「自嘲、ただそれだけがのこるものとしてのこったようだ」~~ とある。この含羞が、詩になっているような気がする。
いずれ、正津ゼミの仲間との作品論の場が展開されるるだろうから、そのときに、また書き加えようと思う。