『奥会津歳時記』黒田杏子・榎本好宏編

表題のとおり会津、それも奥会津途方の歳時記である。
巻頭に只見川電源流域振興協議会の会長・小沼昇氏のことばがあるところを、見ると、地域活性化と地域保全を願う地元民の応援もあったように見受けられる。

一書は奥会津の行事は勿論だが、奥会津ならではの内容が、読み物としても面白い。たとえば、「雪祭り」といえば、一般の歳時記なら、どの歳時記も北海道や新潟のそれを紹介するが、ここではあくまで奥会津の雪祭りである。
「熊」の項目では、毎年熊狩が行なわれていること知ることが出来る。

ほかに、この地方ならでは季語も満載されている。
「桐供養」などははじめて目にした季語である。そういえば会津地方を旅したときに「桐の木」が多い印象を持ち帰った記憶がある。
粽もこの地方では「菱巻」と呼ばれ、笹団子は「角巻」と呼ばれている。

どんな歳時記にも「漆掻き」は収録されているが、この歳時記にある「漆掻き」も確かに、会津塗りのための漆掻きなのである。

地方ならではの季語として「太良布おっきり」というのがある。解説によれば、「沼沢火口原である太良布高原に雪解期に起きる現象で、太良布の集落付近と高原一帯が堅くしまった雪に覆われているが、その上を「上の原」「惣山」方面からの雪解水が押し出してきて雪の表面を流れることをいう。高原地帯の特異な現象である。」と、奥会津という土地柄を感じさせてくれる季語が随所にあって、奥会津に行ってみたくなる一書である。

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