秋山氏の遺句集である。ご本人がまとめたものではない。いろいろな人の協力で一集が出来上がったようである。
序・飯島耕一 帯・五木宏之 ・ 大鷹不二雄
見渡して何もなかりし秋の水
はやばやとさくらの咲きし病後かな
十薬の咲く道に来てかなしめり
ゆりの木の花足元に落ちてをり
木の葉髪生きる力のまだありし
骨壺に落着く春の嵐かな
こころより重きものあり花くるみ
ときどきはおきねばならぬ野分かな
3月14日の「しのぶ会」で頂いたのだが、一度目を通したままだったものを今日初めてじっくり読み返した。淡々とした詠みぶりがかえって切ないような、静かな句集である。母を詠んだ句が多くて、それが意外のような気がしたが、秋山氏の別の一面を見せられたようでもある。