根本佳代子「恋ごころ」  新日本文芸協会刊

最近小さな句集を頂いた。
小さな句集といったのは、総ページ数八十頁、句数が百句に満たないような本だからである。むしろ、その句数の少なさが、全てをじっくり読ませるかもしれない。あまりに厚い句集は、それだけで、作品を粗末に読み過ごしてしまいそうだ。

この句集の編集も気に入った。普通は二句か三句を均等にページに収めていくのだが、この句集はそうではない。一句のページがあったり、三句のページがあったりして、緩急を自ずと句数で表現している。内容はそのタイトルで誰でも想像できる恋句である。

古扇子閉じて開ひて夜が明ける
籐椅子や右ひぢだけが飴の色
西日入る障子に一羽飾り鳥
行く先を問ふこともなし流し雛
さくらんぼ一人ぼつちを先に食べ

一句目の扇子の句は、まさにきぬぎぬの別れ際のような句。俳句をはじめて、一年ほどの作者とは思えないレベルである。ににん 

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