鳥のような魚

 いろいろあって、いろいろな検査をした。いつも嫌だなーと思うのは胃の検査。バリュウムを飲むのも嫌だが、胃カメラを飲むのも嫌だったが、今回はその胃が一番気になる中心だったから、避けるわけにはいかない。食事は前日の20時まで、水は24時まで。それなのに検査予約は翌日の11時だった。それもすぐには始まらない。問診やらエコーやら‥‥。

 そのあと注射をされた。胃の動きを抑えるものだという。「あとでもう一本するけれど、それは検査室に行ってからね、眠くなるから」と看護士さんがいう。それからまだまだ待たされて、結局はじまったのは12時半くらいだっただろうか。検察室に入る前に盃くらいの容器に入った液体を飲まされた。胃の中の泡を消すものだという。ベットに横になってから、さっき言っていた眠くもなるらしい注射をされた。下手なのか異常に痛かった。あとで、大きな痣になっていた。

 それで肝心の胃カメラなのだが、気が付いたときには終わっていて、少しあちらの部屋で休んでくださいという看護士さんに案内された。もともと、起立性眩暈というか、頭を傾けるたびに微かな揺れを感じる私は足がふらふらしながら、用意されてるベットに移動した。

 食道に確かにカメラを入れたなという感覚は覚えているのだ、どのくらいの大きさだった、何処からいれたのかも朦朧となっていた。その上、どのくらいの時間カメラが入っていたのかも覚えていない。カメラを入れたのが院長だったのか、他の人だったのかも記憶に無い。要するにほとんど朧のうちに終わっていたのである。眠くなる注射は麻酔薬なのかもしれない。とにかく意識がないまま終わって30分くらいはしっかり眠ったような気がする。

 そのあと、医師が悪いところはないとおもいますよ。来週はっきりしますから、最後に「どうでした。胃カメラ飲むのは」ってっ聞かれたのだが、そんな具合で、楽と言えばこんな楽な検査は無かったのである。

 帰り道で池の淵に寄ると、水面にパチパチと小さな飛沫が上がる。人の気配を察知して岸から離れる小魚だ。そんなに慌てなくてもいいのに。まるで鳥が飛ぶような速さである。屈みこんでしばらく眺めていたが、ほんとうに早い。

 大きな魚は背びれも尾びれも動かなさなければならないから、ゆったりと進んでいくのだが、小さな魚は、そうした細かな動作がない。いやあるのかもしれないが、円錐型の胴をポーンと投げるように先の水へ進む。

 ふと、その魚とは違う泥鰌くらいの魚が池の淵に上がって腹を見せたような気がする。気がすると言ったのは、「おや」と思って裏返っている魚に気がついたときには、すでに身を水中に翻して見えなくなったからである。勢いが余って岸へ上がってしまったのだろうか、投げつけられたかのように裏返った魚が、慌てて姿勢を取り戻して水中に飛び込んだ。そこだけを確かに見たのだが、今のは幻影だったかしらと思うくらいの一瞬の出来事だった。

 それから電車に乗って、一駅目の停車の駅名を見るともなしに目をやると、本来なら和光市のはずなのにその次の成増駅だった。和光市を通過するはずが無いから、私がぼんやりしているうちに停車したのだ。眠っていたわけでもないし、本を読んでいたわけでもない。なのに私の意識の中には入ってこないで、電車は停車してまた走りだしていたのである。
 
 なんだか、頭で、ときどき記憶が飛んでしまうのではないかと思うような出来事ばかりの一日だった。

コメント / トラックバック2件

  1. じあん より:

    胃カメラもバリウムも飲んだことがないので、こわーいです。
    でも麻酔をしてくれるというのは、いいような悪いようなですよねー。

    電車の話、
    近頃電車に乗ることが滅多にないので、あまりありませんが、じあんは割としょっちゅう、本も読んでいないし、起きているのに、乗り過ごしていました。
    気がついたときがショックなんですよねー。思い出した。

  2. 岩淵 喜代子 より:

    むかし、東上線の回送電車に乗ったまま、曳きこみ線まで行ってしまったことがありました。車掌も見落としたのですよね。やはり眠っていたわけでもなかったんですが。気が付いたら私だけ。運転手が車内を歩いてやってきて、もう少しそたら発車しますから、と言って驚きもしなかったのは、そんな人がほかにも居たんですね。

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