鬼の親子

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「何で追いかけられてきたのよ」
とは言ってみても、ルリはもう自分の毛繕いに懸命になっていて、さっきの余韻すら感じていない。もしかしたら、近所の家で、今回の我が家のような光景が展開していたのだろうか。
その積年のうらみが今の反撃になっているなんてことだろうか。

「顔は老けないのふだが、歳はとっているのね」

そんなことを言ってみても、めげるのかどうか。

私たちが棒を持ったときからルリは「お願い、任せたわ」というふうだった。
当のルリよりも、私たちの方が興奮冷めやらぬまま、
「もしかしたら、仲間に言いふらしてくれるかもね」
「そうねあの家には鬼の親子が居るなんてね!」
そんなたわごとを言いながら、本当は、もっと手応えのある一撃くらいは与えたかった不満を紛らわした。

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