追いかけられて

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ルリも逃げかえるときは凄い。そのときだけは昔と変わらない敏捷さにもみえるのだった。
まるで、弾丸のように風呂場から部屋に、飛び込んできた。
「助けてー」
という感じにもみえた。
多分わが家はさいごの砦なのだ。
なんでまた、他所の猫も懲りもしないで追いかけてくるのだろうと思ったが、先回の猫とも違うのだ。
近くにあるものを手にしながら、構えてはみたものの、襲い掛かってきた猫は目の前を宙をとぶように横切るのを避けるのが精一杯だった。
その辺の窓を開けて、とにかくお帰り願うしかなかった。

「なーに、この間の猫の話を聞いていないのかかしらねー」と娘は言った。

「どれどれ、鬼の親子とやらを見てこよう、なんて言いながら、きたのかもね」
「それじゃー今頃、やっぱり鬼の親子がいたよ、なんて言っているわ」

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