本誌は4月(春号)、7月(夏号)、10月(秋号)、1月(冬号)に発行する俳句同人誌です。年間購読のご希望は3,000円を郵便振替 00150-8-85254「ににん発行所」宛に住所、氏名、郵便番号、電話番号を明記してお振り込みください。現在発行している号より一年分を順次お送りいたします。
ご不明な点はににん発行所までお問い合わせください。
過去の目次
ににん 40号 2010年10月1日 発行 | |||
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巻頭言 | 下連雀からの眺め(四) | 2 | 清水哲男 |
物語を詠む | 『浮雲』 | 4 | 四宮暁子 |
『鵜飼』 | 6 | 伊丹竹野子 | |
『祇園祭』 | 8 | 長嶺千晶 | |
俳句 | ににん集 | 10 | 辻村麻乃 他 |
さざん集 | 23 | 武井伸子 他 | |
句句燦燦 | 36 | 岩淵喜代子 | |
新連載評論 | 『この世にいなかった俳人』 | 38 | 岩淵喜代子 |
連載評論 | 『預言者草田男』 | 46 | 長嶺千晶 |
連載評論 | 『歩く人・碧梧桐』 | 50 | 正津勉 |
連載評論 | 『わたしの茂吉ノート』 | 55 | 田中庸介 |
▼ | 英語版『奥の細道を読む』 | 表3 | 木佐梨乃 |
▼ | 秀句燦燦 | 60 | 田中キミ子 |
▼ | 俳句の風景 | 62 | 武井伸子 |
▼ | 編集後記 | 64 | * |
表紙絵 | * | 尾崎じゅん木 |
●編集後記 四十号●
次号四十一号は「ににん」十周年記念号となります。すでに企画の大枠は決まっていますので、これからすぐに編集に取り掛かかるつもりです。
四十一号記念号が出来上がりましたら、「ににん」同人で一堂に会して、懇親会を開く予定です。その場所も「ににん」に相応しい場所があればと、模索中です。
十年も経ちますと、こうした小さな会では収まらない人、あるいは「ににん」の方向に違和感を持つようになったと思う人もいるかも知れません。水が必然的に流れをつくるように聚合離反は常についてまわるものです。この十周年という区切りをそのきっかけに使うのも、個々の方向のために、そして会の水を濁さないために考えていいかもしれません。来年のテーマ「月下独酌」は、「ににん」のこれからの個々の姿としても相応しいと思って選びました。ひとりひとりが個を保ちながら「月下独酌」のゆとりを俳句に文章に生かしていければと思います。
(岩淵喜代子)
●お知らせ●
▼次号の投句
四十一号は記念号ですから、テーマ「月」の挿入された作品五句のみ送ってください。月は「月刊」などのように季語として扱わなくてもかまいません。評論は休載です。
▼「ににん」例会
句会・毎月第一月曜日 十時三十分
句会・毎月第二月曜日 十一時
(いずれも、高田馬場駅より徒歩三分の戸塚
地域センター内)
吟行・第三土曜日(場所は随時お知らせ)
▼次号俳句テーマ
四十一号・「月」
四十二号・「下」
四十三号・「独」
四十四号・「酌」
▼「ににん」四十一号の次回稿締め切りと発行日
冬号十一月二十日締め切り
発行一月五日
次回の俳句出句は「ににん」集のみです。
▼お願い
締め切りは厳守してください。早い分には一向にかまいません。
▼季刊ににんの購読
郵便振替00150-8-85254に三千円をお振込みください。追って次号より一年間お送りいたします。何号からと書き込んでいただければ、バックナンバーでも在庫があればお送りできます。
▼物語を詠む二四句の企画は続きます
なお、四十一号で物語を詠むのアンソロジーを「十周年記念号」として発行する計画です。まだ到着していない方もおります。早めに送ってください。
▼同人費一万三千円/年
●ににん関係の掲載●
『俳句年鑑』二〇一一年度・年間動向
『俳句研究年鑑』二〇一一年度・年間動向
『俳句四季』九月号今月のハイライト・十周年」の紹介をしていただきます。
『俳句あるふぁ』十二月別冊
たべもの歳時記埼玉担当
▼岩淵喜代子
『俳句四季』七月七日「七夕まつり」
講演=石鼎について
『俳句四季』九月号「ににん十周年の所感」執筆
『俳句研究』秋号・五句出句
『羽黒山全国俳句大会』選者
十月三日=第五十一回奥の細道
『俳句年鑑二〇一一』諸家自選五句
『俳句研究年鑑二〇一一』諸家自選五句
『俳句』十一月号・「禁じ手について」執筆
『俳句界』一月号俳句作品六句
『現代俳句』十一月号俳句十句
▼長嶺千晶
『俳句年鑑二〇一一』諸家自選五句
『俳句研究年鑑二〇一一』諸家自選五句
週刊俳句『週俳六月の俳句を読む』執筆
尾瀬文学賞俳句部門選者
▼西田もとつぐ
『俳句界』九月号 京大俳句を読む会について
▼辻村麻乃
『俳句四季』七月号俳句八句
ににん 39号 2010年7月1日 発行 | |||
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巻頭言 | 下連雀からの眺め(三) | 2 | 清水哲男 |
物語を詠む | 『憂国』 | 4 | 伊丹竹野子 |
『あらしのよるに』 | 6 | 浜岡紀子 | |
俳句 | ににん集 | 8 | 武井伸子 他 |
さざん集 | 19 | 田中キミ子 他 | |
『頂上の石鼎』特集 | 書評 | 34 | 酒井佐忠 |
他紙書評転載 | 38 | ||
連載評論 | 『歩く人・碧梧桐』 | 44 | 正津勉 |
連載評論 | 『わたしの茂吉ノート』 | 49 | 田中庸介 |
連載評論 | 『預言者草田男』 | 54 | 長嶺千晶 |
▼ | 英語版『奥の細道を読む』 | 表2 | 木佐梨乃 |
▼ | 句句燦燦 | 32 | 牧野洋子 |
▼ | 秀句燦燦 | 58 | 木佐梨乃 |
▼ | 吟行燦燦 | 60 | 長嶺千晶記 |
▼ | 俳句の風景 | 62 | 尾崎じゅん木 |
編集後記 | 64 | * | |
ホームページ投句鑑賞 | 表3 | ||
表紙絵 | * | 尾崎じゅん木 |
●編集後記 三九号●
「連休にネパールに行ってきます」と四宮さんが言った。エベレストが目の前に見える何とかいう山だという。それでも三千メートル級だ。実は、毎日新聞の「俳句あるふあ」から三十代の俳人を紹介してということだった。「ににん」に三十代は三人いるが、より若い人ということで四宮さんを紹介しておいた。原稿は帰ってきてから出すというのだが、帰ってくるのは締め切りぎりぎり。ちょっと心配していたが、無事に予定通り帰宅したらしく、メールに何枚かのネパールの写真が添付されていた。あちらはストライキに遭遇して、麓から駅まで一日かけて歩いたという。なんと凄いこと、と思うのだがさわやかなメールだった。
もうひとりは、あの有名なサハラ砂漠のマラソンに挑戦してきた人がカルチャー教室にいる。七十歳を越えていて、走破した中の最高年齢だったらしい。世界中から走者は集ってくるらしいが、話に聞くとそれはそれは壮絶な自己管理をしながらの道程らしい。大変なことを爽やかにやってのける人たちがいるものだ。
●お知らせ●
▼今年の夏は長良川の「鵜飼」吟行を企画しています。準備は吉野の宇陀草子さんにお願いしています。七月十四・十五日。参加をご希望の方は申し出てください。(担当長嶺千晶)
▼「ににん」例会
句会・毎月第d"一月曜日 十時三十分
句会・毎月第二月曜日 十一時
(いずれも、高田馬場駅より徒歩三分の消費者センター内)
吟行・第三土曜日(場所は随時お知らせ)
▼今年度の俳句テーマ
四十号「金」
▼「ににん」四十号の次回稿締め切りと発行日
秋号八月二十日締め切り
発行:十月五日
▼お願い
締め切りは厳守してください。早い分には一向にかまいません。
▼季刊ににんの購読
郵便振替00150-8-85254に三千円をお振込みください。追って次号より一年間お送りいたします。何号からと書き込んでいただければ、バックナンバーでも在庫があればお送りできます。
▼物語を詠む二四句の企画は続きます
なお、四十一号で物語を詠むのアンソロジーを「十周年記念号」として発行する計画です。まだ到着していない方もおります。早めに送ってください。
▼同人費一万三千円/年
●ににん関係の掲載●
『俳句四季』九月号今月のハイライトで、「ににん十周年」の紹介をしていただきます。「ににん」は0号から始めていますので、この三九号は確かに四十回の雑誌発行となります。
『俳句あるふあ』たべもの歳時記埼玉県担当
『マルホ俳句年鑑』二〇一〇年度結社動向
▼岩淵喜代子
『俳壇年鑑二〇一〇』諸家自選一句
『俳壇』五月号俳句とエッセイ
『雷魚』十句選
『俳句研究』夏号作品五句
『現代俳句協会年鑑二〇一〇年』俳句五句
『俳句あるふあ』
(八・九月号新世紀の俳人たち)推薦文
『俳句ウエップ』五六号 作品七句
『俳句四季』八月号「処刑前夜」書評
『俳句四季』九月号「今月のハイライト」
『NHK深夜便』六月二七日・今日の一句放送
▼四宮暁子
『俳句あるふあ』
(八・九月号新世紀の俳人たち)作品
▼川村研治
『俳壇』五月号 俳句七句と小文
▼長嶺千晶
『俳壇年鑑二〇一〇』諸家自選一句
『星雲』十一号「招待席」作品八句とエッセイ
同 鳥井保和句集『吃水』より一句鑑賞
「宇宙」島村正句集『富士』より一句鑑賞
『現代俳句』六月号「頂上の石鼎」書評
ににん 38号 2010年4月1日 発行 | |||
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巻頭言 | 下連雀からの眺め(二) | 2 | 清水哲男 |
物語を詠む | 『薬指の標本』 | 4 | 上田禎子 |
『天国にいちばん近い島』 | 6 | 伊丹竹野子 | |
俳句 | ににん集 | 8 | 須賀薊 他 |
さざん集 | 19 | 高田まさ江 他 | |
句句燦燦 | 30 | 同前悠久子 | |
連載評論 | 『預言者草田男』 | 32 | 長嶺千晶 |
連載評論 | 『わたしの茂吉ノート』 | 36 | 田中庸介 |
連載評論 | 『歩く人・碧梧桐』 | 41 | 正津勉 |
▼ | 英語版『奥の細道を読む』 | 表2 | 木佐梨乃 |
▼ | 秀句燦燦 | 46 | 岩淵喜代子 他 |
▼ | 吟行燦燦 | 48 | 武井伸子記 |
▼ | 俳句の風景 | 50 | 武井伸子 |
編集後記 | 52 | * | |
ホームページ投句鑑賞 | 表 | ||
表紙 | * | 尾崎じゅん木 |
●編集後記 三八号●
▼ににん会員消息
またかと思われるかもしれませんが、次号からまた石鼎についての連載をします。題は仮に「この世にいなかった石鼎」
▼「やあ、東野」 作詩 栗原良子
バス道の坂を上がって 青空
ようこそ春の風 美しき村へ
瓦屋根から 木立を抜けて
太鼓橋を渡ると 不意に勇気が わいてくる
ここで会おう 友と
いくたびも語ろう 君と
やあ、東野、東野高校
これは、飯能にある「盈進学園東野高校」の新しい校歌の一小節。作詞はににん同人の栗原良子さん。彼女は同校の教師でもある。お披露目は三月の卒業式だそうである。校歌の堅いパターンを払拭したさわやかな歌詞である。
▼京大文書館で八月三日—十月三日まで「京大俳句資料」展が開催されます。京大俳句について連載していた西田もとつぐ氏はその準備に追われているとのこと。展示されたら一度は足を運んでみたいと思っている。
▼今年の夏は長良川の「鵜飼」吟行を企画しています。準備は吉野の宇陀草子さんにお願いしています。七月初旬。参加をご希望の方は申し出てください。(担当:長嶺千晶)
(岩淵喜代子)
●お知らせ●
▼「ににん」例会
句会・毎月第一月曜日 十時三十分
句会・毎月第二月曜日 十一時
(いずれも、高田馬場駅より徒歩三分の消費者センター内)
吟行・第三土曜日(場所は随時お知らせ)
▼今年度の俳句テーマ
三九号「万」
四十号「金」
▼「ににん」三九号の次回稿締め切りと発行日
春号 五月二十日締め切り
発行 七月五日
▼お願い
締め切りは厳守してください。早い分には一向にかまいません。
▼季刊ににんの購読
郵便振替00150-8-85254に三千円をお振込みください。追って次号より一年間お送りいたします。何号からと書き込んでいただければ、バックナンバーでも在庫があればお送りできます。
▼物語を読むの二四句の企画は続きます
なお、四十一号で物語を詠むのアンソロジーを「十周年記念号」として発行する計画です。一人一編の作品を、過去の発表した物の中から選んで送ってください。
▼同人費一万三千円/年
●ににん関係の掲載●
▼岩淵喜代子
『俳壇』五月号結社の
『俳句』二月号作品一六句
『俳句研究』春号作品五句
『俳句四季』二月号作家訪問
『俳句四季』二月号菅原鬨也句集一句鑑賞
『俳句生活』特集「芭蕉道と写真俳句」一句
『なんじゃ』春号「俳句とエッセイ」
『りいの』四月号「俳句雑感」
『朱夏』十句選句八七号・八八号・八九号
『俳句界』五月号「現代を詠む」
『俳壇』五月号 俳句七句と小文
『くるみ』五月号句集『七十路の果て』寸評
▼川村研治
『俳壇』四月号 俳句七句と小文
▼長嶺千晶
『俳句』三月号「守屋明俊句集」
『日暮れ鳥』一句鑑賞
『俳句』五月号「写生力は吟行で磨け」執筆
『俳句界』三月号 秦野吟行作品3句
『朴の花』「泉を汲む(十)]執筆
『秋麗』作品鑑賞「独自の視点を求めて」執筆
『宇宙』一句鑑賞
『星雲』鳥井保和句集『吃水』一句鑑賞
佐藤正八句集『サーカス』帯文執筆
週間俳句「週俳一月の作品を読む」執筆
ににん 37号 2010年1月1日 発行 | |||
---|---|---|---|
巻頭言 | 下連雀からの眺め(一) | 2 | 清水哲男 |
物語を詠む | 『晩菊』林芙美子 | 4 | 伊丹竹野子 |
『情夜』浅田次郎 | 8 | 川村研治 | |
『センセイの鞄』川上弘美 | 10 | 望月遥 | |
『十三夜』樋口一葉 | 10 | 石井圭子 | |
俳句小論 | 牧野洋子作品抄 | 12 | 川村研治 |
俳句 | ににん集 | 14 | 正津勉 他 |
さざん集 | 24 | 須賀薊 他 | |
ホームページ投句 | 35 | * | |
句句燦燦 | 36 | 上田禎子 | |
連載評論 | 『歩く人・碧梧桐』 | 38 | 正津勉 |
連載評論 | 『わたしの茂吉ノート』 | 43 | 田中庸介 |
連載評論 | 『預言者草田男』 | 47 | 長嶺千晶 |
▼ | 英語版『奥の細道を読む』 | 表2 | 木佐梨乃 |
▼ | 雲上句会『原裕』 | 52 | 伊丹竹野子 |
▼ | 秀句燦燦 | 54 | 今井實子他 |
▼ | 吟行燦燦 | 56 | 長嶺千晶 |
▼ | 俳句の風景 | 58 | 尾崎じゅん木 |
編集後記 | 60 | * | |
表紙 | * | 尾崎じゅん木 |
●編集後記●
▼明けましておめでとうございます。
また新たな歳を重ねて「ににん」も十年目を迎えました。改めて「ににん」という同人誌に参加する意味を考えておきたいとおもいます。
五周年のときに同人誌を確認する意味で、同人全員で同人誌への所感を書いていただきました。そこでも、確認したことですが、同人誌とは自分を発揮するための場と考えていただけばいいので、それ以上には何もないのです。要するに、「ににん」に拠れば自由に書く場と句を発表する場がある、という事だけなのです。しかし、発表する場があるという事も一つの前進の力になるものです。
「ににん集」と「さざん集」の俳句作品のほかに、文章では「評論」を、そして俳句は「物語を詠む」という分野なら何方も自由にいくらでも参加していいことになっています。この方針はこれからも変わりません。この場があるということを大いに利用しながら、各人が自分の作品を深めていって頂きたい。発表する場があったから成し得ることがある筈です。
要するに、ページに投入するということは自分と向き合うことなのです。句会に参加するのもしないのも自由です。
私がお手伝い出来ることがあるとすれば、「ににん」の雑誌の維持に力を注ぐことだけです。
(岩淵喜代子)
ににん 36号 2009年10月5日 発行 | ||
---|---|---|
特別企画『石鼎を語る・後編』 | 2 | * |
原石鼎俳句セレクション | 10 | * |
高浜虚子俳句セレクション | 11 | * |
句集特集『嘘のやう影のやう』評 | 12 | 坂口昌弘 |
句集特集『嘘のやう影のやう』評 | 15 | 辻井喬ほか |
物語を詠む『プロレゴメナ』 | 18 | 筑紫磐井 |
物語を詠む『草枕』 | 20 | 伊丹竹野子 |
俳句「ににん集」 | 24 | * |
俳句「さざん集」 | 34 | * |
句句燦燦 | 44 | 同前悠久子 |
秀句よりどり | 62 | * |
連載評論『預言者草田男』 | 46 | 長嶺千晶 |
連載評論『わたしの茂吉ノート』 | 50 | 田中庸介 |
連載評論『歩く人・碧梧桐』 | 55 | 正津勉 |
英語版「奥の細道を読む」 | 表2 | 木佐梨乃 |
雲上句会「原裕」 | 60 | 伊丹竹野子 |
吟行燦燦「深川」 | 64 | 上田禎子 記 |
俳句の風景 | 66 | 上田禎子 |
編集後記 | 68 | * |
表紙 | * | 尾崎じゅん子 |
●編集後記●
▼石鼎評伝の連載が終りましたので、その締めくくりもかねて座談会「石鼎を語る」の場を持ちました。今回はその後編でした。
来年は正津勉さんの「碧梧桐を語る」を、そうして、次には「草田男を語る」・「茂吉を語る」と順次座談会の企画を予定しています。
とりあえず「碧梧桐を語る」ための準備として、今回は「ににん」の仲間の中の若い方たちに語ってもらう予定です。正津さんの文学ゼミで文学作品を語り合っている方々でもありますから楽しみです。
三五号はいつもより増刷していましたが、申し込みが多くて、編集部にも一冊も無い状態になりました。ご希望に添えない人も出てしまいましたので、今回は五百冊を印刷することにしました。「ににん」としては一番発行部数の多い号となります。
ほんの数年前に創刊していたような気がするのですが、月日はどこか遠いところで確実に刻まれていたようです。来年の秋には五十号・十周年となります。それでもいろいろな方が句集を上梓したのですから確かに月日を積み重ねてきたのです。
来年もやはり「詠題」も続けていくつもりです。それに変わる提案があればまた検討してゆきます。
(岩淵喜代子)
ににん 35号 2009年7月5日 発行 | ||
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英語版『奥の細道を読む | 1 | 木佐梨乃 |
特別企画座談会「石鼎を語る」前篇 | 2 | |
平林恵子句集特集 | 18 | 蕪木 裕 |
一句鑑賞 | 22 | 有坂裕子 |
物語を詠む『千軒岳』 | 24 | 岸本尚毅 |
物語を詠む『草枕』 | 26 | 伊丹竹野子 |
物語を詠む『つつましき不在』 | 28 | 須賀薊 |
物語を詠む『食堂かたつむり』 | 30 | 中島外男 |
物語を詠む『窓際のトットちゃん』 | 32 | 佐々木靖子 |
俳句 ににん集「赤」 | 34 | ほか |
ホームページ投句 | 44 | |
俳句 さざん集 | 46 | 佐々木靖子ほか |
句句燦燦 | 56 | 平林恵子 |
秀句よりどり | 74 | |
連載『わたしの茂吉ノート』 | 58 | 田中庸介 |
連載『歩く人・碧梧桐』 | 63 | 正津勉 |
連載 『預言者草田男』 | 68 | 長嶺千晶 |
連載 雲上句会 | 72 | 伊丹竹野子 |
吟行燦燦 | 76 | 上田禎子 |
俳句の風景 | 78 | 尾崎じゅん子 |
編集後記 | 80 | * |
表紙 | * | 尾崎じゅん子 |
●編集後記●
▼石鼎評伝の連載は、三十四号で打ち切ることにしました。すでに最終章まで書き終えて出版社に預けてありますので、あとは一書になったもので読んでいただこうと思います。
書き始めたのは二〇〇二年の春号からなので、七年ほど連載したことになります。その間、数え切れない感想を頂き、筑紫磐井氏には新聞誌上のコラムで大きな応援をしていただきました。ときどく、ふと感じ入ることで頂いたお便りはほんとうに嬉しいものでした。中でもいちばん楽しんでいたのは、書いている私自身だったと思います。
実際石鼎の名前を出すだけで、旧知のように親戚のように接してくださるのでした。原石鼎に皆関心を持っていたからでしょう。
東吉野の役場の北浦淳介氏・石鼎の長兄に嫁いだ吾郷家の現在の当主俊二氏、北園克衛とともに石鼎の家に下宿していた弁之輔のご子息生越達美氏。そうして東吉野の俳友、伊丹竹野子氏、宇陀草子氏。出雲の俳友、板倉貞行氏、布野想夕氏。米子を案内して頂いた長曽美紗子氏やご一緒していただいた平林恵子氏。
WEBのブログに本村町の一一六番地のあたりに行ってみたが、住居の在り処がはっきり掴めなかったというコメントしていた方は前田普羅を追っている方でした。同じブログに、終戦まで曽祖父の所有していた土地なので探したがよく分からなかったというのもありました。
古書店で見つけた『麻布本村町』という本の著者荒潤三氏は大正十四年生まれ。わたしの問い合わせで、『原石鼎ー二百年めの風雅』や須賀敦子の『遠い朝の本たち』を読んで、本村町時代の石鼎住居の在り処を探して下さった。
石鼎俳句の初出に関ってくださった土岐光一氏。そうして、最後の仕上げの校正には、「ににん」のお仲間の木津直人氏が大きな助っ人になりました。
それから膨大な資料を頂いた椎橋清翠氏・まつもと・かずや氏などなど、お世話になった方たちについては、ブログで経緯を書き込んできましたが、心からお礼を申し上げます。
(岩淵喜代子)
ににん 33号 2009年1月5日 発行 | ||
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『喨綾』 | 1 | 岩淵喜代子 |
長嶺千晶句集『つめた貝』作品論 | 2 | 中岡毅雄 |
句集『つめた貝』作品論 | 6 | 山西雅子 |
物語を詠む『田園に死す』 | 8 | 齋藤慎爾 |
物語を詠む『白い象のような山並み』 | 10 | 須賀薊 |
物語を詠む『檸檬』 | 12 | 伊丹竹野子 |
物語を詠む『月の都』 | 14 | 岩淵喜代子 |
物語を詠む『コルシアの書店の仲間たち』 | 16 | 宮本郁江 |
物語を詠む『源氏物語』 | 18 | 長嶺千晶 |
物語を詠む『タタド』 | 20 | 望月遥 |
俳句 ににん集「白」 | 22 | 栗原良子ほか |
俳句 さざん集 | 32 | 木津直人ほか |
句句燦燦 | 42 | 松浦健 |
秀句よりどり | 66 | |
連載『歩く人・碧梧桐』 | 44 | 正津勉 |
連載『わたしの茂吉ノート』 | 48 | 田中庸介 |
連載『花影婆娑と』 | 54 | 岩淵喜代子 |
連載 『預言者草田男』 | 60 | 長嶺千晶 |
英語版『奥の細道』を読む | 64 | 木佐梨乃 |
連載 雲上句会 | 56 | 伊丹竹野子 |
吟行燦燦 | 68 | 長嶺千晶 |
俳句の風景 | 70 | 尾崎じゅん子 |
編集後記 | 72 | * |
ホームページ投句 | 表3 | |
表紙 | * | 尾崎じゅん子 |
●編集後記●
▼33号より正津勉氏の『歩く人・碧梧桐』が始まった。ページがあつくなったのは、「物語を詠む」の賑わいである。
ににん 32号 2008年10月5日 発行 | ||
---|---|---|
『俳句の背景』を書くにあたって | 表2 | 平林恵子 |
千年沼のぬなはかな | 2 | 正津勉 |
句集『吉野口』論 | 4 | 井上泰行 |
句集『吉野口』一句鑑賞論 | 8 | 大塚一郎ほか |
物語を詠む『城崎にて』 | 10 | 伊丹竹野子 |
物語を詠む『てのひら般若心経』 | 12 | 松浦健 |
物語を詠む『うたかたの記』 | 14 | 高田まさ江 |
物語を詠む『あすなろ物語』 | 16 | 及川希子 |
俳句 ににん集「馬」 | 18 | 木津直人ほか |
俳句 さざん集 | 28 | 木佐梨乃ほか |
ホームページ投句 | 37 | |
句句燦燦 | 38 | 武井伸子 |
連載 『わたしの茂吉ノート』十一 | 40 | 田中庸介 |
連載 英語版『奥の細道』を読む | 45 | 木佐梨乃 |
連載 『預言者草田男』十 | 46 | 長嶺千晶 |
連載 石鼎評伝『花影婆娑と』32 | 50 | 岩淵喜代子 |
ホームページ投句その2 | 55 | |
連載 雲上句会 | 56 | 伊丹竹野子 |
秀句よりどり | 58 | 石井圭子ほか |
吟行燦燦 | 60 | 武井伸子 |
俳句の風景 | 62 | 上田禎子 |
編集後記 | 64 | * |
●編集後記●
▼数日前に文学の森『俳句界』の座談会に出席した。雑誌のテーマは「結社の問題点を洗い出す」というような内容で、二ヶ月にわたって掲載されるようだ。出席者は、筑紫磐井・星野高士・澤好摩・栗林真知子・坂口昌弘・谷ユースケの各氏。知っていたのは筑紫磐井氏と星野高士氏だけ。こういうテーマの時には人選が難しいだろうな、と察した。今回のテーマも、むしろ、主宰者たちで自ら問題点を洗ったほうが面白かったかもしれない。俳句に対する関わりかたは人それぞれである。そこですでに、結社に対する求め方が違うのだから、結社の有り様はいろいろあってもいいのである。結局は嫌なら辞めていく。というよりも辞める自由を持っているのだから。結社はひとえに、主宰と弟子の一対一の向き合い方の集合体なのである。
石鼎没後の『鹿火屋』を継いだは原コウ子は、「あなたは後輩ですよ」という言葉を何度か同人から言われたことがある。また、「句跨り」や「破調」の句を作らないようにと虚子に言われた石鼎は先生だって作っているではないかと反論している。そのときの虚子は「でも君が作ると困るんだよ」と応えている。当時の石鼎の影響力を表す逸話である。どちらにしても、こんなゆるやかな自由な空気があったのだなーと、しみじみ想った。この間の暑さが嘘のように涼しくなって、夏中啼いていた鶯の声がピタリと止んだ。何処かへ移動したのだろうか。その啼いていた藪をはみ出して、夜な夜な烏瓜の花が咲く。
(喜代子)
▼北京五輪が済んで選手達が帰国をしてきた。選手団長の負けたことに対するコメントもあった。競技は力の差であれば負けても仕方がないが、ちょっとした差で、また、審判のせいで負けてしまったときは、選手は非常に口惜しいだろう。もっとも、勝者より敗者が多い訳だから、負けても責めることはないのではないか、力を出しきって戦ったことであれば、などと思ったりしている。いつのまにかイベントの喧騒に巻き込まれ、今は祭りの後の淋しさに落入っている。
(上田禎子)
ににん 31号 2008年10月5日 発行 | ||
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『雲上句会』を書くにあたって | 表2 | 伊丹竹野子 |
秋の晴に坐す | 2 | 正津勉 |
句集『嘘のやう影のやう』論 | 4 | 角谷昌子 |
句集『嘘のやう影のやう』鑑賞論 | 8 | 高浦銘子 |
物語を詠む『廃市』 | 10 | 須賀薊 |
物語を詠む『うたたね』 | 12 | 木津直人 |
物語を詠む『葉っぱのフレデイ』 | 14 | 牧野洋子 |
物語を詠む『あすなろ物語』 | 16 | 及川希子 |
俳句 ににん集「満」 | 18 | 木佐梨乃ほか |
俳句 さざん集 | 28 | 尾崎じゅん子ほか |
ホームページ投句 | 37 | |
句句燦燦 | 38 | 同前悠久子 |
連載 『預言者草田男』九 | 40 | 長嶺千晶 |
連載 『わたしの茂吉ノート』十 | 44 | 田中庸介 |
連載 英語版『奥の細道』を読む | 49 | 木佐梨乃 |
連載 石鼎評伝『花影婆娑と』31 | 50 | 岩淵喜代子 |
ホームページ投句その2 | 55 | |
連載 雲上句会 | 56 | 伊丹竹野子 |
秀句よりどり | 58 | 伊丹竹野子ほか |
吟行燦燦 | 60 | 上田禎子 |
俳句の風景 | 62 | 平林恵子 |
編集後記 | 64 | * |
●編集後記●
▼句集「嘘のやう影のやう」の評論をお願いした角谷昌子さんは1954年生。また国際俳句協会評議委員としても活躍しています。『未来図』の同人で句集もすでに「奔流」「源流」を上梓。特別なご縁があるというのではないが、いつも、「ににん」によく目を通していてくださっていることに感激していました。 鑑賞をお願いした高浦銘子さんは1960年生。『藍生』所属の若手として、やはり『水を聴く』『水の記憶』の二冊の句集を上梓。今回ご縁が出来たのは、この6月に発行された角川書店刊「鑑賞『女性俳句の世界』第6巻」に収録されている「岩淵喜代子の作品鑑賞」を担当していただいたことによる。お忙しいところを快くお引き受けくださったお二人に感謝しています。
(喜代子)
▼夏の終わり、貨物線沿いの細い道を自転車で亀戸まで辿った。この路線が廃線になったのは、いつだったか。都会のなかで、一昔前の面影を残す別世界になっている。線路の土手には凌霄花がなだれて落ち、夏空を背にカンナや向日葵が咲いていた。道の反対側木造の家並みが続き、どこか懐かしい。土手の下にはトマトや茄子が植えられて、物干竿にはシャツが翻っていた。青い葡萄がたわわに実っている。樹木の間に鶏小屋まであった。帰りは夕暮れ時、白粉花の赤が滲み出しそうな夕闇の中を三日月に向かって家路を急いだ。
(武井伸子)
▼梅雨はまた青梅の出回る季節でもある。ピロードのような青梅の黒い生り口を、一粒ずつていねいに拭っては、氷砂糖とともに焼酎に漬け込んでいく。そうやって梅酒となるまで一年以上ねかせるのである。外は雨降りでも、家中でしずかに作業している時間はゆっくりと贅沢に流れてゆく。とかく結論だけを求める日本人は、せっかちな国民だとつくずく思う。梅酒の瓶を覗きこむと、待つという時間の豊かさが香ってくる気がする
(長嶺千晶)
ににん 29号 2008年1月5日 発行 | ||
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茂吉を書くにあたって | 表2 | 田中庸介 |
カッパのまぼろし | 2 | 正津勉 |
句集『二藍』論 | 4 | 酒井和子 |
句集『二藍』一句鑑賞 | 8 | 小兵衛ほか |
物語を詠む『女の足音』 | 10 | 伊丹竹野子 |
俳句 ににん集「肩」 | 12 | 尾崎じゅん木ほか |
俳句 さざん集 | 21 | 上田禎子ほか |
ホームページ投句 | 31 | |
句句燦燦 | 32 | 望月 遥 |
連載 わたしの茂吉ノート』(8) | 34 | 田中庸介 |
連載 英語版『奥の細道』を読む | 39 | 木佐梨乃 |
連載 預言者草田男 | 40 | 長嶺千晶 |
連載 石鼎評伝『花影婆娑と』 | 44 | 岩淵喜代子 |
連載 嵐に立ち向かう俳句 | 48 | 西田もとつぐ |
連載 師系燦燦 | 52 | 草深昌子 |
連載 雲上句会 | 56 | 伊丹竹野子 |
秀句よりどり | 58 | 佐々木靖子 |
吟行燦燦 | 60 | 上田禎子 |
俳句の風景 | 62 | 平林恵子 |
編集後記 | 64 | * |
●編集後記●
▼謹賀新年。昨年も一年間、吟行に明け暮れた。どこへ行っても、季節が少しずつずれていることに気づかされた。温暖化の影響で、日本列島に亜熱帯化の傾向が出始めているそうだ。やがては、四季の移ろいの無い列島になってしまうのだろうか。有季定型の季語とは、四季が列島を順当にめぐってこそのものだと、改めて思わされた。
(武井伸子)
▼近くの小川で蒿雀を見て以来時々出かけては出会いを愉しんでいる。歳時記では夏の季語に入っているが、里では冬の間見られる鳥である。先日久しぶりに再会して嬉しくなった。左右にカーブした川のほとりは径幅いっぱいに落葉があり伸びきった枯草などで川面は見えない。ふと動くものを見つけたのが蒿雀であった。ほんの一メートル先であった。
(望月遥)
▼新年明けましておめでとうございます。「ににん」の創刊は二〇〇〇年九月。今年度は八周年目を迎えることになりました。過ぎてみれば、もうそんなに月日が過ぎたのかと思うほどで、浦島太郎の気持ちがよくわかります。
ごくごく少人数の会なので、雑誌も節約型。光沢のカラー紙を使うことで表紙に彩りを添えてきました。ところが、なんと三年目に、そのカラー光沢紙の会社がなくなったとかで、現在は白色光沢紙に色をかけています。白色なのだから、どのような表紙にすることも可能なので、わざわざ色をかけなくても、という意見も出ましたが、初期の表紙には、雑誌に寄せるさまざまな思いが込められています。その思いを支えにしながら続けて来られたとも思っていますので、これからも、その方法を踏襲しながら十周年を目指します。今年度から、表紙の色や絵の選択は尾崎じゅん木さんに、すべてお願いしてあります。これからも、いろいろな方に助けられて雑誌は運営されています。本年もよろしくお願いいたします。
今回の表二の執筆者田中庸介さんは、一九六九年生れ。高校時代から「ユリイカ」「現代詩手帖」の投稿欄で鈴木志郎康、稲川方人、吉増剛造らに注目されていました。東大医学部卒で、現在は細胞生物学研究者。「ににん」の「わたしの茂吉ノート」を書いた直後に、学会のお仕事で渡米しましたので、表二のエッセイはワシントンDCから送られてきました。
(岩淵喜代子)
ににん 28号 2007年10月5日 発行 | ||
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特別寄稿 俳句交流会の思い出 | 2 | 上田日差子 |
ニラルドミラリ | 4 | 正津勉 |
物語を詠む『抹香町』 | 6 | 草深昌子 |
物語を詠む『夢十夜』 | 8 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「父」 | 10 | 及川希子他 |
俳句 さざん集 | 19 | 岩淵喜代子他 |
句句燦燦 | 28 | 伊丹竹野子 |
連載 わたしの茂吉ノート』(7) | 30 | 田中庸介 |
連載 英語版『奥の細道』を読む | 35 | 木佐梨乃 |
連載 預言者草田男 | 36 | 長嶺千晶 |
連載 嵐に立ち向かう俳句 | 40 | 西田もとつぐ |
連載 石鼎評伝『花影婆娑と』 | 44 | 岩淵喜代子 |
連載 師系燦燦 | 48 | 草深昌子 |
連載 雲上句会 | 52 | 伊丹竹野子 |
秀句よりどり | 54 | |
吟行燦燦 | 56 | 上田禎子 |
俳句の風景 | 56 | 平林恵子 |
編集後記 | 60 | * |
●編集後記●
▼当初のホームページは極めて個人的なものだったが、私が管理するようになってから、すこしずつ項目を増やし、同人誌のホームページという体裁を整えてきた。メカニズムを知っているわけでもない私が手がけていくのだから、思ったようにはならなかったし、時間もかなり費やされた。ブログも併用しながら、同人の協力を得て補ってきた。その体制は同じまま、トップ画面をはじめとして、全体にリニューアルをすることにした。「岩淵喜代子の折々」は、個人的ブログと受贈著書・他誌転載・句集紹介などを併用してきた。そのブログをホームページと一体化してもらった。これはやはりプロの技だと思った。ついでのことに「ににん」のドメインも取得した。
http://www.ni-nin.com/
リンクを貼って頂いている方たちには、登録の更新をお願いしたい。そのリニューアルを手がけていただいたのが、表二で自己紹介をしている木佐梨乃さん。
相羽宏紀さんの英語で読む『奥の細道』の中断は残念なことと思っていたのだが、不思議なご縁で、このWEBデザイナーのプロである木佐梨乃さんに引き継いで頂けることになった。こういうのを神の思し召しとか、仏の曳き合わせというのだろう。表二で自己紹介をしているので詳しいことは省いておく。不躾にも「お歳は」と聞いてみたら、「16進法×2+3」という答えが戻ってきた。
▼表二は暫く「ににん」同人の自己紹介のページとして、先ずは執筆者の同人に、執筆するにあたっての豊富やら方向などを語ってもらうことにしようと思う。
(岩淵)
▼猛暑の後の八月末、みちのくの入口を駆け足でめぐった。田圃は色づき始め蕎麦畑は真っ白に花盛りであった。自然の中に点在する庶民の祈りの場、ころり観音、抱き柱や数々の路傍の石仏など、心にしみこんで来る古来の遺産に出会えた。猪苗代湖のほとりの野口英世記念館では人間の素晴らしさを再認識した。
(松浦)
ににん 27号 2007年7月5日 発行 | ||
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特別寄稿 俳句交流会の思い出 | 2 | 夏石番矢 |
頂上や | 4 | 正津勉 |
物語を詠む『真鶴』 | 6 | 草深昌子 |
物語を詠む『富獄三十六景』 | 8 | 伊丹竹野子 |
物語を詠む『ロンリー・ウーマン』 | 10 | 岩淵喜代子 |
物語を詠む『室内』 | 須賀薊 | |
俳句 ににん集「雀」 | 14 | 上田禎子他 |
俳句 さざん集 | 20 | 今井實子他 |
ホームページ投句より | 30 | * |
句句燦燦 | 32 | 武井伸子 |
連載 石鼎評伝『花影婆娑と』 | 34 | 岩淵喜代子 |
連載 わたしの茂吉ノート | 42 | 田中庸介 |
連載 嵐に立ち向かう俳句 | 47 | 西田もとつぐ |
連載 預言者草田男 | 50 | 長嶺千晶 |
連載 師系燦燦 | 54 | 草深昌子 |
連載 雲上句会 | 58 | 伊丹竹野子 |
秀句よりどり | 60 | |
吟行燦燦 | 62 | 武井伸子他 |
俳句の風景 | 66 | 尾崎じゅん木 |
編集後記 | 68 | * |
●編集後記●
▼最近、義弟に「吟行に行く」といったら、「どこのバンク?」と聞いてきた。単に「吟行よ」といえばよかったのだろう。思えば普段なにげなく言っていた。文字にしてみるとたしかに「行」が重っておかしい。俳句に無縁の人は「銀行」としか浮かばないようである。
(上田禎子)
▼神田川祭の中をながれけり 久保田万太郎
今年はじめて句友とともに神田祭を見ました。神田明神を振り出しに、秋葉原、馬喰町とJRや地下鉄を乗りつぎ、日本橋馬喰町で神輿を待ち伏せ。広範な地域にまたがるお祭りであることを実感しました。大通りでは神輿を担ぐ人、囃す人が気勢をあげ、一歩路地に入ると、祭半纏の人達がくつろいでいるのも、楽しい光景でした。
(武井伸子)
▼五月の気温が不安定だったと取り沙汰されている。一本ある青軸の梅が良く咲いたのに実がついていない。二月も寒暖は極端だった。道路に燕の糞が落ち、ホトトギスが好く鳴いている。雀の数はどうだろうか。食べ物、衣装、紋所と人の暮らしとの密着ぶりに改めて感じ入る。ホームページの雀の課題投句も常連、初めての方と実に多彩であった。
(平林恵子)
▼前回鈴木榮子春燈主宰にドイツの俳句交流会について執筆していただいたので、翌年のイタリアの交流会についても記録しておくことにした。幸い発行所に近いところに、当時ご一緒した夏石番矢氏がお住いだったので、お願いした。そのイタリアの交流会には、俳人協会側では、前回のドイツをご一緒した鈴木榮子氏も参加された。ほかには、山崎ひさを・今井杏太郎・黒田杏子・伊藤敬子・岩井久美恵・加藤耕子・下鉢清子・柴田鏡子・関森勝夫・渡辺勝などの各氏。夏石氏が書いているように、俳人協会と現代俳句協会が合流したのは、ローマ。その後、われわれ俳人協会のメンバーは、ローマからソレント。そしてカプリ島へ渡った。その後廻ったナポリの街を散策しているときに、伊丹三樹彦氏に出会った。相変わらずカメラをぶら下げていた。
(岩淵喜代子)
ににん 26号 2007年4月5日 発行 | ||
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喨稜『唐変木』を読む | 表2 | 岩淵喜代子 |
特別寄稿 俳句交流会の思い出 | 2 | 鈴木榮子 |
双眸の涙星 | 4 | 正津勉 |
物語を詠む『夏服の女たち』 | 6 | 上田禎子 |
物語を詠む『愛の流刑地』 | 88 | 伊丹竹野子 |
物語を詠む『夢十夜』 | 10 | 須賀薊 |
俳句 ににん集「洋」 | 12 | 岩淵喜代子他 |
俳句 さざん集 | 20 | 伊丹竹野子他 |
ホームページ投句より | 29 | * |
句句燦燦 | 30 | 上田禎子 |
連載 わたしの茂吉ノート | 32 | 田中庸介 |
連載 嵐に立ち向かう俳句 | 37 | 西田もとつぐ |
連載 預言者草田男 | 40 | 長嶺千晶 |
連載 石鼎評伝「花影婆娑と」 | 44 | 岩淵喜代子 |
連載 師系燦燦 | 48 | 草深昌子 |
連載 雲上句会 | 52 | 伊丹竹野子 |
秀句よりどり | 54 | 平林恵子他 |
吟行燦燦 | 56 | 武井伸子他 |
俳句の風景 | 58 | 平林恵子 |
編集後記 | 60 | * |
ホームページ投句鑑賞 | 表3 | * |
●編集後記●
▼二月末野鳥公園に吟行に行った。枯蘆が一面みごとであり、枯蘆の句を出句したのだが、もう過ぎた季節であるから春の季語をつけた方が良いと、尊敬する先輩方から意見をいただいた。確かにすでに仲春に近い。「枯」を詠むのは季感としてふさわしくないのかもしれない。だが春の日差しに輝く枯蘆原の美しさに心引かれたら、俳句ではどうしたら良いのであろうか。多分句の工夫が足りなかっただけのことなのだろうが、俳句はやはり難しい。
(尾崎じゅん木)
▼飯田龍太先生が亡くなられた。私の初学の師であった。何故だか先生はいつまでも山廬に生き続けて下さるものと思い込んでいた。今回の「雲母の系譜」はご逝去の前日に書き上げたもので、只々驚きと悲しみでいっぱいである。
山川のとどろく梅を手折るかな 蛇笏
白梅のあと紅梅の深空あり 龍太
龍太俳句は、蛇笏の熱情が裏打ちになっていた。蛇笏を抱きしめて甲斐の風土もろともにその生涯を全うした俳人は、早春のイメージに違わず、梅明りの深空を昇っていかれた。合掌。
(草深昌子)
▼近くに三メートルほどの小川がある。ところどころに鴨が群れているが、ときには白鷺が立ってじっとしてしていることがある。その間を鶺鴒が抜けていったりする。樹上には椿の花に目白がやって来て蜜を吸っている。鳥たちが生きていくための食べ物が十分あるのかどうか分からないが腹が空いて焦っているようには全く見えない。無一物の鳥たちはどれだけ癒されているか測り知れない。
(松浦健)
▼今回は鈴木榮子春燈主宰に巻頭の文章を頂いた。鈴木主宰とはドイツの旅以前に中国の旅でもご一緒した。さらにドイツの旅以後にはイタリアの旅も共にしている。そのイタリアの旅行中、ミラノの空港でストライキに出合い、自販機もレストランもないガランとした真夜中の空港で何時間も待たされたことがある。翌日バチカンの日本大使公邸で合流するはずの夏石番矢氏をはじめとする現代俳句協会のメンバーとも寄り合って、なぜか遠足のバスを待っているかのようにのんびりしていた。
(岩淵喜代子)
ににん 25号 2007年1月5日 発行 | ||
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喨稜『件』を読む | 表2 | 岩淵喜代子 |
君が代の少年兵は | 2 | 正津勉 |
辻村麻乃句集『プールの底』評 | 4 | 藤原龍一郎 |
牧野洋子句集『プールの底』一句鑑賞 | 8 | 須賀薊ほか |
俳句 ににん集「貧」RL | 10 | 伊丹竹野子 |
俳句 さざん集 | 18 | 石井圭子ほか |
ホームページ投句より | 27 | * |
連載 句句燦燦 | 28 | 松浦 健 |
六周年記念評論掌論『雲上の俳人を招いて』 | 32 | 伊丹竹野子 |
六周年記念評論掌論『ラジオの剃刀日記』 | 33 | 平林恵子 |
六周年記念評論掌論『田中裕明小論』 | 36 | 草深昌子 |
六周年記念評論掌論『小さな句会』 | 40 | 上田禎子 |
六周年記念評論掌論『連句アニメーション』 | 42 | 武井伸子 |
連載 嵐に立ち向かう俳句向う | 45 | にしだもとつぐ |
連載 わたしの茂吉ノート | 48 | 田中庸介 |
連載 予言者草田男(3) | 54 | 長嶺千晶 |
連載 花影婆娑と (23) | 58 | 岩淵喜代子 |
連載 師系燦燦 | 62 | 草深昌子 |
秀句よりどり | 66 | 宮本郁子ほか |
連載 吟行燦燦 (2) | 68 | 上田禎子 |
連載 俳句の風景 | 70 | 尾崎じゅん木 |
編集後記 | 72 | * |
新刊案内 | 表3 | * |
●編集後記●
▼「文芸に安住の場はない」という岩淵代表によって、作品にも、評論にも、制約という枠をはずしたりリベラルな雰囲気が「ににん」にもたらされている。まだ参加して半年に過ぎないが、お互いの自由を尊重しあう心地よさは、お互いの違いを認めあうことにも通じていよう。コツコツと好きなことを地道に積み重ねられる場としての「ににん」をありがたいと思う。
(千晶)
▼クリスマスも近くなり、子供たちはサンタクロースにプレゼントをお願いしていることことであろう。どうやらコンピューターゲームが多そうである。思い出してみると、綾取、おしくらまんじゅう、縄飛びなどのかつての子供の遊びは、ゲーム機よりは人との触れ合いがあった。冬の季語ともなっている。綾取、縄飛びは幼稚園などでしているが、おしくらまんじゅうは暖房の完備した現在、しているのだろうか。季語の中にしか存在しなくなっているのではと思いつつ、イルミネーションの街の中を帰った。
(上田禎子)
▼十一月六日発売『週間朝日』の連載「親子のカタチ」に詩人正津勉氏とその娘さんの映画監督中村真夕の対談があった。冒頭に——七十年代のデビュー当時、詩壇を騒然とさせた無頼派詩人の父。娘が生れても、酒と女に明け暮れる生活に歯止めは無かった。祖母に育てられ十四年間海外で過ごした娘は映画の道に突き進み、家族の愛に飢えた少女の物語で監督デビューを果たした——というキャッチ・コピーがあった。
中村真夕氏は高校からイギリス留学。そのあとも、ロンドン大学・コロンビア大学大学院・ニューヨーク大学大学院の映画科を卒業し、最近『カリヨの夏』で監督デビューをなした。要するに親の膝元から学校に通ったことがないのである。この対談の中身が面白い。母と父と娘の三人三様の個我を貫き通した新しい家族の関係がある。
(岩淵喜代子)
ににん 24号 2006年10月5日 発行 | ||
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喨稜『や』を読む | 表2 | 岩淵喜代子 |
学級雑誌のこと | 2 | 清水哲男 |
夕焼とある | 4 | 正津勉 |
牧野洋子句集鑑賞 | 6 | 谷雅子 |
牧野洋子一句鑑賞 | 10 | 相羽宏紀ほか |
俳句 ににん集「羽」 | 12 | 石井圭子ほか |
俳句 さざん集 | 20 | 浅見優子ほか |
ホームページ投句より | 29 | * |
連載 句句燦燦 | 30 | 土肥あき子 |
六周年記念 石鼎評論 海岸篇一挙掲載 | 32 | 岩淵喜代子 |
連載 わが凡愚俳句に入る(19) | 51 | 相羽宏紀 |
連載 わたしの茂吉ノート | 52 | 田中庸介 |
連載 嵐に立ち向かう俳句(4) | 57 | 西田もとつぐ |
連載 予言者草田男(2) | 60 | 長嶺千晶 |
連載 師系燦燦 | 64 | 草深昌子 |
秀句よりどり | 68 | 今井實子ほか |
連載 俳句の背景 | 74 | 平林恵子 |
編集後記 | 76 | * |
ににん創刊六周年によせて | 表3 | 岩淵喜代子 |
●編集後記●
▼狭庭の一隅に秋海棠が咲いている。今年のはなのは、草丈高く花茎も長い。花の色は毎年同じ淡紅色で、華の形も毎年同じだが、草の姿と、花の咲き始める時期は、毎年異なる。その年の気候によるのだろう。
今日は朝から雨である。秋海棠に降る雨。初秋の風景である。句になるべき筈、と思うのだが。ただ見ている。
(まさ江)
▼月が九月に変わっただけで、朝夕すっかり涼しくなってしまった。例年、これほどに変化があっただろうか。猛暑の後だけに極端にすぎると感じている。それにもまして月の綺麗なこと。谿川を挟んだ山の端に、今夜あたりは半月だろうか。瑞々しく恥じらう輝き。美しいとはこんな時に使う言葉ですよネ。
(恵子)
▼だんだん同人誌らしく、役割分担が定まってきた。逆に定まらないのが編集に関わるメンバーの顔ぶれである。これも、すべての人が編集に関われるチャンスである。しばらくは、その号で編集、校正に関わった人を、「編集スタッフ」として書き込むことにした。少人数のときも、多勢になることもあるだろう。みんなが編集の仕事を分担してもらえることが理想である。
▼今回は創刊号から六周年目。記念号の代わりに、「石鼎評論」の海岸篇を一挙掲載することにした。毎年、同人たちの掌論集が出てほしいと思っている。
(喜代子)
ににん 23号 2006年7月5日 発行 | ||
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喨稜 | 1 | 岩淵喜代子 |
老人と金 | 2 | 清水哲男 |
終ひの別れかな | 4 | 正津勉 |
物語を詠む(27)「砂の上の植物群」 | 6 | 岩淵喜代子 |
物語を詠む(28)「花ざかりの森」 | 8 | 伊丹竹野子 |
物語を詠む(29)「鍋の中)浅見優子 | 10 | 浅見優子 |
俳句 ににん集「角」 | 12 | 浅見優子ほか |
俳句 さざん集 | 20 | 相羽宏紀ほか |
連載 句句燦燦 | 30 | 土肥あき子 |
連載 わたしの茂吉ノート | 32 | 田中庸介 |
連載 石鼎評伝(16) | 36 | 岩淵喜代子 |
新連載 予言者草田男 | 40 | 長嶺千晶 |
連載 嵐に立ち向かう俳句(3) | 44 | 西田もとつぐ |
連載 わが凡愚俳句に入る(18) | 47 | 相羽宏紀 |
連載 師系燦燦 | 48 | 草深昌子 |
秀句よりどり | 52 | 相羽宏紀ほか |
連載 俳句の背景 | 54 | 有住洋子 |
編集後記 | 56 | * |
●編集後記●
▼創刊以来土肥あき子さんに、「ににん」の版下を製作して頂きました。ながいこと有難うございました。今回から印刷所にすべてをおまかせすることにしました。幸いなことに誠実な対応で、安心しておまかせ出来る印刷所が広島に見つかりました。尚、「ににん」の表2は創刊以来編集者の顔という位置づけできましたが、多忙な土肥さんに代わって編集を担当してもらえる人が決まるまで岩淵が同人誌を逍遥していきます。
(喜代子)
▼2006年6月末で清水哲男さんのインターネット版「増殖する俳句歳時記」が十周年を迎え、当初の予定通り1旦終了となった。毎日1句600字で鑑賞するこのホームページは、1日約千件のヒットを数える人気サイトであった。ひとつの終焉に拍手を送り、新たなる挑戦へ心からのエールを送りたい
(あき子)
▼先頃、ある薬草園で葛の根を初めて見ることができた。葛餅でしか知らなかった葛の根の太々とした有り様に圧倒された。また強心剤となるシキタリスの沢山の鈴のような花も初めて見た。つくづくまだ知らない自然の魅力を思う
(健)
▼五月初め、秩父塚越の花祭りへ。道案内役を仰せつかったのだが、案の定、道を間違えそうになった。白藤がよく薫り、夜は星降る道。躑躅,藤、桐、八重桜、卯の花が咲き乱れ、菖蒲田には今年も蝌蚪が生まれていた。電線では燕の子が途方に暮れ、緑したたる山々は光輝き、眼福の2日間だった。
(伸子)
ににん 22号 2006年1月1日 発行 | ||
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喨稜 | 1 | 岩淵喜代子 |
日本のお母さん 井上信子 | 2 | 正津勉 |
伊丹竹野子『ら・ら・ら恋蛍』鑑賞 | 4 | 松本康男ほか |
物語を詠む『猫と庄三とふたりのをんな』 | 10 | 土肥あき子 |
物語を詠む『たまらん坂』 | 12 | 岩淵喜代子 |
物語を詠む『カルメン幻想曲』 | 14 | 西田もとつぐ |
俳句 ににん集「祝」 | 16 | 清水哲男ほか |
俳句 さざん集 | 24 | 岩淵喜代子ほか |
秀句よりどり | 34 | 清水哲男ほか |
新連載 わたしの茂吉ノート | 36 | 田中庸介 |
連載十五 石鼎評伝 | 40 | 岩淵喜代子 |
連載二 嵐に立ち向かう俳句 | 43 | 岩淵喜代子 |
連載十七 わが凡愚俳句に入る | 47 | 相羽宏紀 |
師系燦燦 | 48 | 草深昌子 |
句句燦燦 | 52 | 土肥あき子 |
俳句の風景 | 54 | 有住洋子 |
編集後記 | 56 |
●編集後記●
▼伊丹竹野子さんの句集評を書いて頂いた松本康男さんは、長いあいだ『鶴』の編集にかかわっていた方。校正、かな使いなどに精通していて頼りにしている方である。
▼わたしのパソコンのかたわらには、購読者の平田徳子さんから頂いた手製の蛙が居座っている。いや寝そべっていると言ったほうがいいかもしれない。「ににん」五周年の日に、急用で出席できなくなった平田さんがわざわざ会場に立ち寄ってお花と、それからたくさんの布製の蛙を置いていってくれた。「ににん」の何人もがその蛙を持ち帰ったはずである。なんとなく愛らしくて、疲れた目の落ち着きどころになっている。
(喜代子)
▼本号より田中庸介さんの新連載「わたしの茂吉ノート」がスタートした。作者は詩人であり、また詩誌や短歌誌等に評論を連載している実力派。田中さんの手による斎藤茂吉が今後一体どんな姿を表わすのか期待がふくらむ。田中庸介さんのホームページはこちら。→田中庸介の詩の仕事
▼清水哲男さんの詩集『黄燐と投げ縄』が三好達治賞、山本RL健吉賞受賞と吉報が相次ぎ、本号の兼題「祝」のクライマックスとなった。そのためのご多忙もあり、好評のエッセイは今回残念ながら休載。
(あき子)
ににん 21号 2006年1月1日 発行 | ||
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喨稜 | 1 | 岩淵喜代子 |
五周年記念会pickup | 2 | |
ににん眺望 | 6 | 倉橋羊村 |
企画眺望 | 8 | 後藤兼志 |
俳句眺望 | 12 | 高澤晶子 |
評論眺望 | 16 | 酒井弘司 |
特集眺望 | 20 | 原雅子 |
いやな感じ | 24 | 清水哲男 |
句が詩を変える? 北村太郎 | 26 | 正津勉 |
俳句 ににん集「五」 | 28 | 清水哲男ほか |
俳句 さざん集 | 35 | 岩淵喜代子ほか |
最終回 人はなぜ俳句に身をやつすのか | 44 | まつもと・かずや |
連載十四 石鼎評伝 | 50 | 岩淵喜代子 |
連載一 嵐に立ち向かう俳句 | 50 | 岩淵喜代子 |
師系燦燦 | 58 | 草深昌子 |
句句燦燦 | 62 | 土肥あき子 |
編集後記 | 64 |
●編集後記●
▼五周年特集その二として、「ににん」の中身を照射していただくことにした。二十冊のすべてを見渡しながらの作業は、大変なことをお願いすることになるなと、思ってはいた。しかし、皆さん真剣に取り組んでくださって、感謝感謝の一語に尽きます。「ににん」創刊五周年祝賀会も無事に終った。臨席RLして頂いた全ての人が、一つになるような和やかな空気が会場に流れるのを感じて、本当に嬉しかった。またこつこつと作品を積み重ねていくことだけを考えていきたい。
(喜代子)
▼11月26日晴天、ににん五周年祝賀会。司会の八木健氏には、手の足りぬ会の大いなる助っ人となっていただきました。また清水哲男氏と愛用Macの大活躍で、宴席上で初の号外配布を実現。文字通り記念すべき会となりました。安堵の息をつく間もなく冬号の制作。特集第二弾はどの頁も背筋を正す思いで読ませていただきました。ご執筆の倉橋羊村氏、後藤兼志氏、高澤晶子氏、酒井弘司氏、原雅子氏に心から御礼申し上げます。磯辺さんの連載が全二十回で、まつもとさんの連載が本号で最終回。ご愛読ありがとうございました。本号より西田さんの新連載が始まります。表紙もぐっと明るく、一年間枇杷色でお届けします。イラストは全て同人の尾崎じゅん木さんです。あらためまして、本年もよろしくお願いいたします。
(あき子)
ににん 20号 2005年10月5日 発行 | ||
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喨稜 | 1 | 岩淵喜代子 |
五周年にあたって | 2 | 岩淵喜代子 |
俳句同人誌の開く地平 | 6 | 朝吹英和 |
同人誌の未来を占う | 10 | 井川博年 |
イタリア未来派とイマジズム | 12 | 今井聖 |
切磋琢磨の快楽 | 14 | 坪内稔典 |
出会い | 16 | 戸松九里 |
思い出すことなど | 18 | 清水哲男 |
老残的持続を! | 20 | 正津勉 |
今、同人誌とは | 22 | 土肥あき子ほか |
俳句 ににん集「五」 | 44 | 清水哲男ほか |
俳句 さざん集 | 52 | 岩淵喜代子ほか |
連載十六 わが凡愚俳句に入る | 61 | 相羽宏紀 |
連載十三 人はなぜ俳句に身をやつすのか | 62 | まつもと・かずや |
句句燦燦 | 66 | 土肥あき子 |
師系燦燦 | 68 | 草深昌子 |
交互連載 俳句の風景 | 70 | 有住洋子 |
編集後記 | 72 |
●編集後記●
▼二十号は予定通り、同人誌について、みんなで考えることを企画してみた。やはり、企画してよかったなと思っている。「ににん」に参集した同人の希望のようなものもが聞えてきた。残念なのは、足元しか見ていない意見が多かったことである。俳句が未熟である、という自意識が自ずと俯かせるのかも知れない。胸を張らなければ、見える筈のものも見えなくなる。表二の「喨稜」は折角の同人誌についての企画の延長として、光っている同人誌を探し出して、紹介していくことにしたいと思っている。
(喜代子)
▼五周年記念の特集第一弾。同人誌について何でも書いてほしいという大雑把なお願いを快く引き受けてくださった朝吹英和氏、井川博年氏、今井聖氏、坪内稔典氏、戸松九里氏に心から御礼申し上げます。次号は特集第二弾、五年間のににんの軌跡を外部の方に縦横に照射していただこうと考えている。
(あき子)
ににん 19号 2005年7月1日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
そうか そうだったのだ | 2 | 清水哲男 |
河童に恋なし 小川芋銭 | 4 | 正津勉 |
宮城雅子『薔薇園』鑑賞 | 6 | 森川光郎・草深昌子 |
物語を詠む『鳳仙花』 | 12 | 岩淵喜代子 |
物語を詠む『遠野物語』 | 14 | まつもと・かずや |
物語を詠む『古事記』 | 16 | 伊丹竹野子 |
物語を詠む『ビルマの竪琴』 | 18 | 浅見優子 |
物語を詠む『リトルターン』 | 20 | 松浦健 |
物語を詠む『百年の孤独』 | 22 | 土肥あき子 |
物語を詠む『夏と花火と私の死体』 | 24 | 武井伸子 |
連載二十 江戸俳画紀行「山東京伝」 | 26 | 磯辺まさる |
連載十五 わが凡愚俳句に入る | 31 | 相羽宏紀 |
連載十三 花影婆娑と 原石鼎評伝 | 32 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「輪」 | 36 | 清水哲男ほか |
俳句 さざん集 | 43 | 岩淵喜代子ほか |
連載十二 人はなぜ俳句に身をやつすのか | 52 | まつもと・かずや |
句句燦燦 | 56 | 土肥あき子 |
リレー随筆「輪」 | 58 | 及川希子ほか |
交互連載 俳句の風景 | 60 | 岡本敬三 |
読者アンケート結果 | 62 | |
編集後記 | 64 |
●編集後記●
▼「ににん」も今年の秋には五周年になる。五年といえば長いようだが、二十号と考えると、あっという間の出来事である。大変なことはなにも無かった。ただただ、雑誌をつくることの楽しさを満喫した。もともと、見かけと違って、私は典型的なO型で、アバウトな人間。究極の所では何とかなるさ、と端折ってしまうので、まわりがやきもきしているかもしれない。五周年という折角の節目である。これまでお付き合いして下さった方々や、購読者の方々。そして「ににん」の同人たちと一堂に会して、次の五年へのステップとして、何のための雑誌なのか、ということを掘り下げてみたい。
(喜代子)
▼「ヴィレッジヴァンガード」という面白い書店がある。こだわりの本を集め、それぞれの作品に書店員手書きのコメントカードが付けられているなど、品揃えに相当の思い入れの深さを感じる。さらには懐かしい雑貨なども積まれており、雑然としながらも「遊べる本屋」という様相である。入口に雑誌、真ん中にベストセラーという名の売れる本ばかりの画一的で味気ない最近の書店とは一線を画した商品展開が、どこか今意識している同人誌の意義と重なる。
(あき子)
ににん 18号 2005年4月1日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
松山駅前子規句雑感 | 2 | 清水哲男 |
雪おんなにへそなかりけり 滝口修造 | 4 | 正津勉 |
平林恵子『秋冷の竹』鑑賞 | 6 | 坂口匡夫・佐滝幻太 |
物語を詠む『ティファニーで朝食を』 | 12 | 土肥あき子 |
物語を詠む『タイムスリップ・コンビナート』 | 14 | 岩淵喜代子 |
物語を詠む『楢山節考』 | 16 | 尾崎じゅん木 |
連載十九 江戸俳画紀行「高井几董」 | 18 | 磯辺まさる |
連載十四 わが凡愚俳句に入る | 23 | 相羽宏紀 |
連載十二 花影婆娑と 原石鼎評伝 | 24 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「指」 | 28 | 清水哲男ほか |
俳句 さざん集 | 36 | 岩淵喜代子ほか |
連載十一 人はなぜ俳句に身をやつすのか | 46 | まつもと・かずや |
句句燦燦 | 50 | 草深昌子 |
リレー随筆「指」 | 52 | 及川希子ほか |
交互連載 俳句の風景 | 54 | 有住洋子 |
編集後記 | 56 |
●編集後記●
▼以前、NHK出版に『男の食彩』という雑誌があった。「俳画紀行」を執筆している磯辺まさるさんはそこで、食事風景を描いた名画についてのエッセイを連載していた。楽しみにしていたページだったが、『食彩浪漫』という雑誌に生まれ変わった。 『食彩浪漫』では、「食のモダン人名録」のページを担当している。その三月号は、酒豪の江國滋と下戸の編集者磯辺さんとの東海道道中記で、桑名船津屋での一夜の思い出が語られている。江國氏四十五歳、磯辺さん三十五歳のときのもの。今回は二十四回目で最終回となっている。惜しい企画である。
(喜代子)
▼初めて目にする雑誌を読む時には少しだけ力が入る。偶然戴いた『遊歩人』という雑誌に、筒井康隆が「現代用語裏辞典」を連載している。今号「しゅ」の段は、「しゅかん【主観】たいてい他人の考え」「しゅくめい【宿命】運命を切り開けなかった無能の言い訳」など、毒に込められた真実に苦笑いする。とまれこの月刊誌の大きな特徴は、冊子の電子化と共にブックオンデマンドという形態を取り入れ、紙媒体との共存を模索しているところにある。
▼五周年の企画が着々と進んでいる。一向拙なさの抜けないところはあるが、読んでくださる皆さまと共に確かに歩んだ五年である。前進することの大切さと難しさを今あらためて考えている。
(あき子)
ににん 17号 2005年1月1日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
編集者の憂鬱 | 2 | 清水哲男 |
囚徒の十歩 石原吉郎 | 4 | 正津勉 |
物語を詠む『キッチン』 | 6 | 岩淵喜代子 |
物語を詠む『吉野葛』 | 8 | 草深昌子 |
物語を詠む『雨月物語』 | 10 | 浅見優子 |
物語を詠む『伊勢物語』 | 12 | 伊丹竹野子 |
物語を詠む『老人と海』 | 14 | 土肥あき子 |
物語を詠む『天の夕顔』 | 16 | 松浦健 |
岩淵喜代子『かたはらに』鑑賞 | 18 | 佐滝幻太 |
文學の森『愛の句 恋の句』抄 | 22 | 岡田史乃 |
連載十八 江戸俳画紀行「建部巣兆」 | 24 | 磯辺まさる |
連載十三 わが凡愚俳句に入る | 29 | 相羽宏紀 |
連載十一 花影婆娑と 原石鼎評伝 | 30 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「飛ぶ」 | 34 | 清水哲男ほか |
俳句 さざん集 | 41 | 岩淵喜代子ほか |
連載十 人はなぜ俳句に身をやつすのか | 50 | まつもと・かずや |
句句燦燦 | 54 | 土肥あき子 |
リレー随筆「飛」 | 56 | 須賀薊ほか |
交互連載 俳句の風景 十八 | 58 | 岡本敬三 |
編集後記 | 60 |
●編集後記●
▼十七号の表紙を描いている山内美代子さんは、私が鹿火屋に入って初めて得た句友である。ふたりとも、まだ結社にも馴染んでいなかったので、何処へゆくのも一緒だった。彼女の句で直ぐに思い出すのは「ワンッタチ日傘開きぬ山の駅」である。山合いの駅に降り立って開くワンタッチ日傘は音高く響いたであろう。その音からあたりの深閑とした空気が伝わってくる。この直線的な虚心坦懐な世界が山内さんなのである。そうでなければ、長年の宿病である重症のリュウマチに耐えられなかったろう。手術を繰り返し、やっと歩行可能な状態を保ちながら、現在も墨彩画を指導している。私のエッセイ集「淡彩望」の河童百態の挿絵も彼女の手によるもの。
(喜代子)
▼特集「物語を詠む」は、今回で十三の物語が俳句と手を結んだ。単にあらすじをなぞるだけでなく、深意を探る、想像を広げる、その後を描く、など物語の新しい側面を照射できれば面白い。次号も尚、挑戦は続く。また、文學の森100句精選シリーズ「愛の句 恋の句」に参加された五名の作品を、「篠」主宰岡田史乃氏のご案内で紹介することができた。
▼今年は酉年。時を告げる鶏にあらためて時間の大切さを思う。色トリドリの出会いに心から感謝しつつ、本年もよろしくお願いいたします。
(あき子)
ににん 16号 2004年9月30日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
会社の俳句 | 2 | 清水哲男 |
山懐の彷徨者 前田普羅 | 4 | 正津勉 |
物語を詠む『星の王子さま』 | 6 | 松浦健 |
物語を詠む『不思議の国のアリス』 | 8 | 土肥あき子 |
物語を詠む『ゾライズム残照』 | 10 | まつもと・かずや |
物語を詠む『平家物語』 | 12 | 西田もとつぐ |
物語を詠む『遠野物語』 | 14 | 尾崎じゅん木 |
連載十七 江戸俳画紀行「田上菊舎」 | 16 | 磯辺まさる |
連載十二 わが凡愚俳句に入る | 21 | 相羽宏紀 |
連載十 花影婆娑と 原石鼎評伝 | 22 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「青」 | 26 | 清水哲男ほか |
俳句 さざん集 | 34 | 岩淵喜代子ほか |
連載九 人はなぜ俳句に身をやつすのか | 42 | まつもと・かずや |
句句燦燦 | 46 | 平林恵子 |
リレー随想「青」 | 48 | 岡本敬三ほか |
交互連載 俳句の風景 | 50 | 有住洋子 |
編集後記 | 52 |
●編集後記●
▼今年の夏は熊野、それも中上健次の新宮に出かけた。暑いのは何処も同じだと思ったが、熊野の暑さは格別。まるで中上健次の体温のようだった。『岬』が芥川賞を受賞したのは一九七六年。私が俳句を始めた年度である。周辺の人には不評だったが、その熱気になぜか私は魅了された。数年後、那智の滝を訪れるときに、新宮を車で通り過ぎた。書店の看板の上に、その看板と同じ大きさで「中上健次」と書かれた看板が掲げられているのを、当時の鹿火屋主宰原裕と一緒に見上げた。『岬』の舞台になった路地は変貌していたが、図書館の一隅にある資料館で写真を見ることが出来た。図書館員は、いま中上健次夫人と黒田杏子先生がお帰りになったところですと告げた。その夜、健次が創立した熊野大学に参加した。夜も暑かった。
(喜代子)
▼毎年秋になると長野の岩松院を思う。栗畑に囲まれた小布施の外れのこの寺は、一茶の「痩せ蛙」作句で有名な地だが、ここには九十歳を過ぎた葛飾北斎が描いた見事な鳳凰の天井画がある。本堂の天井いっぱいに描かれた極彩色の鳳凰を仰向けに見つめながら、このモデルに七面鳥の面影があることに気づく。そういえば、北斎の絵にある象には牛の風情が、虎にははっきりと猫の耳が付いていたりする。巨匠の力とは、実在をはねのけ、尚つきつける迫力なのだ。寺から出ると一陣の風がぎっしり実った栗の実を揺らした。それは「笑栗」などという可愛らしいものではなく、がっはがっはと歯を剥いて笑っているようだった。
(あき子)
ににん 15号 2004年6月30日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
おーい、老い。 | 2 | 清水哲男 |
飄逸の詩、妄執の句 淵上毛銭 | 4 | 正津勉 |
句集『硝子の仲間』抄 | 6 | 岩淵喜代子(倉橋羊村選) |
句集『硝子の仲間』鑑賞 | 8 | 池田澄子・木津直人 |
連載十六 江戸俳画紀行「野々口立圃」 | 16 | 磯辺まさる |
連載十一 わが凡愚俳句に入る | 21 | 相羽宏紀 |
随想 骨のかけら | 22 | 尾崎じゅん木 |
俳句 ににん集「骨」 | 24 | 清水哲男ほか |
俳句 さざん集 | 30 | 岩淵喜代子ほか |
連載八 人はなぜ俳句に身をやつすのか | 38 | まつもと・かずや |
句句燦燦 | 42 | 草深昌子 |
俳句と利き腕の考察 その2 | 44 | 土肥あき子 |
交互連載 俳句の風景 | 46 | 岡本敬三 |
編集後記 | 48 |
●編集後記●
▼十五号の俳句テーマは「骨」だった。だからというわけではないが、左手首を骨折してしまった。テーマを地で行ってしまっては笑い話になるだけである。体にかすり傷も受けなかったのは、歩道の躑躅の植え込みに倒れこんだからである。だが横倒しになる一瞬を全体重が、ハンドルを握っていた左手首に掛かったのであろう。「難易度の高い骨折」と言われてしまった。それからはギブスの窮屈さを軽減して貰うかけ引きが医者と続いた。なにしろギブスをあてた手が、使わないのに疲れるのである。医師はわたしが訴えるたびに「しょうがない人だねー」と怒るのである。三週間目にやっと一ヶ月経ちましたね、とギブスを外してくれた。外してから、その日がまだ三週間目だったことに気がついた医師は「あんたがあんまり嫌がるからだ」とわたしのせいにした。片手だけの人生を味わってみると、いままでなんでも二つの手の力をあわせて使っていのだなーとしみじみ実感した。そういえば、怪談を映画や芝居にするときには事前のお払いを神社で受けている。これに懲りて、十六号は明るいテーマを選ぶことにした。
(喜代子)
▼「ビミョー」という最近の言葉がある。「好き」「嫌い」の理由を一切無視する呪文のような表現だ。感情の末分化としてしまえばそれまでだが、言葉とは本来曖昧なものである。はっきり瞳に映っているものでさえ、また心にくっきり浮かんでいるはずの何かでさえ、文字に置き換えるのはもどかしい。これは虹の色を数えるのにも似て、まごまごしているうちに虹は消え、言葉にした色には決して満足できない。しかし表現とは、この「ビミョー」さを、あきらめず追いかけていることなのだと思う。
今日、大きな虹を見た。
(あき子)
ににん 14号 2004年3月20日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
こんな企画を頼みます | 2 | 清水哲男 |
親子もろとも 尾形亀之助 | 4 | 正津勉 |
競詠『源氏物語』 | 6 | 有住洋子・岩淵喜代子 |
連載 江戸俳画紀行「井上士朗」 | 10 | 磯辺まさる |
連載 わが凡愚俳句に入る 十 | 15 | 相羽宏紀 |
連載 花影婆娑と 原石鼎評伝 八 | 16 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「兄弟姉妹」 | 20 | 清水哲男ほか |
人はなぜ俳句に身をやつすのか 七 | 26 | まつもと・かずや |
連載 句句燦燦 | 30 | 草深昌子 |
俳句 さざん集 | 32 | 岩淵喜代子ほか |
俳句と利き腕の考察 その1 | 40 | 土肥あき子 |
連載 俳句の風景 十五 | 42 | 有住洋子 |
編集後記 | 44 |
●編集後記●
▼「ににん」の発送も民間のメール便に託すことにした。翌日、配達の現場にいる人から、宛名のところは見渡すかぎり畑ですよ、という電話があった。わたしは広々とした畑の向うに武蔵野の雑木が残っていたりする風景の中で、途方に暮れている配達人の姿を思い浮かべた。しかし、パソコンで印刷したラベルだから、そのときだけ書き間違えることはないのである。何年も間違った宛名でも正しく配達されていたのである。あて先不明で戻ったのは、俳号が苗字とは全くかけ離れた人である。それも今までは、どのような方法でか認識されて届いていたのだ。郵便局と駆け出しの民間メール便のキャリアの差が歴然と現れたのではあるが、間違ったものは、戻ってもいいのにと思うのだった。
(喜代子)
▼立春の日に岩淵喜代子さんの第三句集 『硝子の仲間』(角川書店)が上梓された。ブルーの涼やかな表紙は、光の加減でキラキラと反射する。清水哲男さんが帯で書く「一本の樹木を想う」という言葉に深く頷いている。幹を見上げ、木漏れ日を楽しみ、木陰に憩う。目に見えないものを見ようとする気持ちや、聞こえない声に耳を澄ます気持ちが、瑞々しい木の葉を伝い、いきいきと、また、しみじみと伝わってくるのだ。詩人の中上哲夫さんは、「人生の最後は緑陰で迎えたいと思う。そのため、生涯、わたしたちは一本の木を探し求めているような気がする」という文章を書いていた。岩淵さんはきっと、生涯を過ごす一本の素敵な木を見つけていらっしゃるのだと思う。そして、その梢や木陰を、訪れる誰にでもRL気前よく解放している。
(あき子)
ににん 13号 2004年1月10日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
悲観しているのです | 2 | 清水哲男 |
ひとすじの苦しい光のように 谷川雁 | 4 | 正津勉 |
作品抄「邂逅」 | 6 | 草深昌子 |
草深昌子作品を観る | 8 | 大木孝子 |
作品抄「打つや太鼓」 | 13 | 清水哲男 |
連載 江戸俳画紀行「千代尼」 | 14 | 磯辺まさる |
連載 わが凡愚俳句に入る 九 | 19 | 相羽宏紀 |
連載 花影婆娑と 原石鼎評伝 八 | 20 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「憎」 | 24 | 清水哲男ほか |
人はなぜ俳句に身をやつすのか 六 | 30 | まつもと・かずや |
連載 句句燦燦 | 34 | 岩淵喜代子 |
俳句 さざん集 | 36 | 岩淵喜代子ほか |
入日色の血 サトウハチロー | 44 | 土肥あき子 |
連載 俳句の風景 十四 | 46 | 岡本敬三 |
編集後記 | 48 |
●編集後記●
▼今年の一年の表紙絵は遠藤マサさんの街の絵である。どうして「ににん」の表紙は街なのかの理由はない。強いて言えば創刊号が街だったから、ということになる。遠藤さんは、私の文章同人誌の仲間、二十数年以上も前からの縁である。雑誌社に勤めながらの二科展の画家。今年定年退職をしたので、思う存分絵が描けるという便りを頂いた。それだけではない。故郷山形の中学校の校歌募集に応募して最優秀賞になった。平成15年11月26日の山形新聞に作曲もつけれて発表されRLた。それを弾みに、同郷の映画監督と、故郷をテーマの映画作りに挑戦し始めている。
(喜代子)
▼「限られた数のなかで自分をどう表現するか」毎度おなじみ俳句のことかと思いきや、実はピアノのお話。鍵盤の数は88。無限の音楽空間を作りあげるのも、限られた鍵盤を駆使して表現しているのだと思うと、途端に愛着がわいてくる。聞き手にすべてを委ねる。共感を求めるという心地よさが、人の気持ちをほどいていくのだろう。『俳句研究』12月号の俳人アンケートに清水哲男氏は「俳句の窓から世間を見ないこと。俳句ウイルスに感染しないこと」と書いた。今年も扉を大きく開いた一年にしていきたいと思う。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
(あき子)
ににん 12号 2003年10月5日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
年鑑の季節に | 2 | 清水哲男 |
もろもろの 和田久太郎 | 4 | 正津勉 |
特別作品「中世の秋のままに」 | 6 | まつもと・かずや |
作品抄「衣桁」 | 8 | 浅見優子 |
浅見優子作品を観る | 12 | 椎橋清翠 |
連載 江戸俳画紀行「小林一茶」 | 14 | 磯辺まさる |
連載 わが凡愚俳句に入る 八 | 19 | 相羽宏紀 |
連載 花影婆娑と 原石鼎評伝 七 | 20 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「数」 | 24 | 清水哲男ほか |
人はなぜ俳句に身をやつすのか 五 | 32 | まつもと・かずや |
連載 句句燦燦 | 36 | 草深昌子 |
俳句 さざん集 | 38 | 岩淵喜代子ほか |
同潤会アパートという異郷 | 46 | 土肥あき子 |
連載 俳句の風景 十三 | 48 | 有住洋子 |
連句「遠き梟」 | 50 | 川野蓼艸捌 |
編集後記 | 52 |
●編集後記●
▼十二号の「句句燦燦」は、同人誌に焦点を当ててもらった。昨年、中国の旅でご一緒した菊田一平さんが、初対面だったが、いきなり「ににん」を初めて読んだとき眠れなかった、という嬉しいご挨拶を頂いた。その上、私の句集「螢袋に灯をともす」も書店で買い求めて、手元にあるという。その一平さんの参加している「や」も同人誌である。代表戸松九里氏。雑誌の主張は「個々の豊かな表現の場でありたい」。一九九六年の創刊だから、まだ七年ほどの雑誌だ。褒められたからお返しをするつもりではないが、この六年間での会員の成長には瞠目する。麻里伊さんの句集「水は水へ」、一平さんの「どっどどどど」は話題になった。次には太田うさぎさんが続くだろう。「や」の成長は、お互いがお互いを刺激し合う、同人誌という器の意義を十二分に発揮したことになる。
同人雑誌という船より、そこに掲げる旗が重要なのだ、と何処かで読んだことがある。
(喜代子)
▼この夏は不作の冷夏という評判であったが、「ににん」の仲間たちの出版については紛れもなく豊饒の夏だった。五月、浅見優子さんの合同句集『四季吟詠句集17』(東京四季出版社)を皮切りに、
草深昌子さんの第二句集 『邂逅』(ふらんす堂)、
清水哲男さんの第二句集 『打つや太鼓』(書肆山田)と、
清水哲男さんの鑑賞文付きの『「家族の俳句」歳時記』(主婦の友社)、
正津勉さんの相聞句歌を追う 『刹那の恋、永遠の愛』(河出書房新社)、
そして岡本敬三さんの太宰賞最終候補作を含め小説三編を収めた『根府川へ』(筑摩書房)が続く。どの本の評判も上々で、書店に平積みされている様子はわが事のように嬉しい。
プロに囲まれ、切磋琢磨できる環境に身を置く幸せと覚悟を、あらためて感じている。
(あき子)
ににん 11号 2003年7月5日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 古澤千秋 |
句作りというビョーキ | 2 | 清水哲男 |
登攀者 石橋辰之助 | 4 | 正津勉 |
岡本敬三作品「君はそこにいる」鑑賞 | 6 | 木津直人 |
俳句 ことばを詠む | 8 | 辻村麻乃/土肥あき子 |
連載 江戸俳画紀行「宝井其角」 | 12 | 磯辺まさる |
連載 わが凡愚俳句に入る 七 | 14 | 相羽宏紀 |
連載 花影婆娑と 原石鼎評伝 六 | 19 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「悪」 | 20 | 清水哲男ほか |
人はなぜ俳句に身をやつすのか 四 | 24 | まつもと・かずや |
連載 句句燦燦 | 26 | 川村研治 |
俳句 さざん集 | 32 | 岩淵喜代子ほか |
江戸川乱歩と俳句 下 | 36 | 土肥あき子 |
連載 俳句の風景 十二 | 38 | 岡本敬三 |
編集後記 | 44 |
●編集後記●
▼雑誌は内側へ視点を合わせているものと、外側へ発信した編集に分かれるようだ。前者は大きな結社で、後者は同人誌であることが多い。たしかに、「ににん」のような小さな会は、外への発信になることは自然のなりゆきである。それだから、文字もなるべくきれいにしたいと願い、紙面はなるべく読みやすいように、と心掛けている。そのため、ページ編集に追い込みはしない。かならず、見開きの右ページからはじまるようにしている。紙面の都合で、同人欄の一部が別の項目の後ろ繋がっている本を見かけることがあるが、常々、作者に失礼だと思いながら見ている。
雑誌は料理の器のようなもの、と考えている。だから、手に取るときの心地良さも本の価値の一部である。
(喜代子)
▼前号より江戸川乱歩を追いながら、各所に残された乱歩の色紙を見る機会に恵まれた。書かれていた言葉のどれもが興味深いものだった。とりわけ衝撃的に目に飛び込んできたものが「われわれは色盲ではないのか、まだ見ぬ色があるのではないのか」、このいつまでもまだ見ぬ色を求める心こそ、乱歩の創作への原動力であったと思う。
春号の岡本敬三さんの俳句鑑賞は、詩人の木津直人氏にお願いした。氏の丹念で真摯な鑑賞に、類型に流れがちな俳句鑑賞の姿勢を正される思いがしている。
(あき子)
ににん 10号 2003年4月10日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
住宅顕信のこと | 2 | 清水哲男 |
つけ髪が落ちる 西村恕葉 | 4 | 正津勉 |
特別作品 君はそこにいる | 6 | 岡本敬三 |
正津勉特別作品鑑賞 | 8 | 田中庸介 |
俳句 ことばを詠む | 12 | 浅見優子/古澤千秋 |
連載 江戸俳画紀行「与謝蕪村」 | 14 | 磯辺まさる |
連載 わが凡愚俳句に入る 六 | 19 | 相羽宏紀 |
連載 花影婆娑と 原石鼎評伝 六 | 20 | 岩淵喜代子 |
原石鼎誌上俳画展 | 24 | 永島理江子氏所蔵ほか |
俳句 ににん集「面」 | 26 | 清水哲男ほか |
人はなぜ俳句に身をやつすのか 三 | 32 | まつもと・かずや |
連載 句句燦燦 | 36 | 岩淵喜代子ほか |
俳句 さざん集 | 38 | 草深昌子 |
江戸川乱歩と俳句 上 | 44 | 土肥あき子 |
連載 俳句の風景 十一 | 46 | 有住洋子 |
編集後記 | 48 |
●編集後記●
▼「ににん」創刊号を発行したあと驚いたことがある。創刊号を発行する前と、その後では雑誌を開くときの自分の目が変わってしまっているのだった。長いこと見慣れている雑誌を、突然に批判している自分に気が付いた。それは活字にたいして、編集内容について、あるいはレイアウトなど様々であった。創刊号を作るときは、かなりアバウトに自分の感覚だけで、あれこれ判断してきたつもりだったが、どこかに、雑誌にたいする無意識な意識を持っていたことになる。面白い現象だなと、自分に眼を見張っているところである。
(喜代子)
▼今年も桜の開花予想が発表された。このあたりでは関口芭蕉庵の前を流れる神田川沿いの桜並木が見事だ。咲き初めももちろん楽しみだが、散る花びらで神田川が埋め尽される頃が最大の見せ場だと思っている。一枚一枚の花びらが、薄桃色の鱗となって東京をどこまでも蛇行する。この時期にだけ現れる美しい龍の姿である。
本号特別作品に挑戦してもらった岡本敬三さんから、今年も太宰治賞(筑摩書房・三鷹市共催)の最終候補に残っているという嬉しい知らせが届いた。作品には俳句をひねる伯父さんが登場し、「ににん」も無駄ではなかった、と勝手に胸を張っている。今年こそ「サクラサク」の声が聞けると信じている。
(あき子)
ににん 9号 2003年1月10日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 古澤千秋 |
私だけが知っている | 2 | 清水哲男 |
千丸の洗髪 | 4 | 正津勉 |
特別作品 遊山遊句 | 6 | 正津勉 |
俳句 ことばを詠む | 8 | 川村研治/草深昌子 |
連載 江戸俳画紀行「三浦樗良 」 | 10 | 磯辺まさる |
連載 わが凡愚俳句に入る 五 | 15 | 相羽宏紀 |
連載 花影婆娑と 原石鼎評伝 四 | 16 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「鬼」 | 20 | 清水哲男ほか |
人はなぜ俳句に身をやつすのか 二 | 26 | まつもと・かずや |
連載 句句燦燦 | 30 | 土肥あき子 |
俳句 さざん集 | 32 | 岩淵喜代子ほか |
中勘助と俳句 | 38 | 土肥あき子 |
連載 俳句の風景 十 | 40 | 岡本敬三 |
オンライン歌仙 | 42 | 岩淵喜代子/北澤耕一 |
編集後記 | 44 |
●編集後記●
▼「ににん」も三年目にはいっている。雑誌立ち上げの苦心話は、と聞かれたら無いと思う。発行もごく自然に運んでいる。決して自信があったというのではない。歩き始めたとき、すでに雑誌の形が自分の中に自然に作られていたような気がする。だから折り合いのつく印刷所が見つかったとき、ただちに評論文をお願いするために十年以上も音信のなかった磯辺まさるさんを訪ねた。それが予定の行動であるかのようだった。今振り返っても、磯辺さんに雑誌の詳細などほとんど話さなかった。ただ、俳誌を出すから評論を受け持って、というお願いをした。そんな唐突な話であったが、磯辺さんも何も尋ねないで承諾してくれた。創刊号に名前を列ねた人のすべてがそうだった。不思議な透明感の中で雑誌を作る作業は運ばれた。
(喜代子)
▼羊年である。昨年開園百二十周年を迎えた上野動物園の園内に、開園当初の動物たちが描かれた『上野動物園の図』が残っている。当時からまず正面に象がいる。そして熊、駱駝と並び、さらに奥に「めんやう」の文字を見つけた。羊もまたその姿を堂々と見せていたことがわかる。動物園開園初年の入場者数は二十万人を超え、うち十八万人が大人であった。いつの時代も見知らぬ動物たちを前に、人々は喜びと畏怖に包まれる。この不思議を楽しむ気持ちをいつまでも大切にしていきたと思う。
今号の特別作品は、正津勉氏の書き下ろし二十四句。山登りに魅せられた氏の清冽な言葉をお楽しみいただきたい。
(あき子)
ににん 8号 2002年10月10日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
コンピューター、おそるべし。 | 2 | 清水哲男 |
断崖の架橋 | 4 | 正津勉 |
土肥あき子句集『鯨が海を選んだ日』抄 | 6 | 岩淵喜代子抽出 |
土肥あき子句集鑑賞 外側の言葉 | 8 | 高山れおな |
ことばを詠む | 12 | 磯辺まさる/有住洋子 |
江戸俳画紀行「松窓乙二」 | 14 | 磯辺まさる |
連載 花影婆娑と 原石鼎評伝 三 | 18 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「闘」 | 22 | 清水哲男ほか |
連載 人はなぜ俳句に身をやつすのか 一 | 28 | まつもと・かずや |
連載 句句燦燦 | 32 | 草深昌子 |
俳句 さざん集 | 34 | 岩淵喜代子ほか |
連載 わが凡愚俳句に入る 四 | 43 | 相羽宏紀 |
長谷川町子と俳句 | 44 | 土肥あき子 |
連載 俳句の風景 九 | 46 | 岩淵喜代子 |
編集後記 | 48 |
●編集後記●
▼結社というのは、喩えれば「城」、そして同人誌は「家族」に喩えられる。城には閉鎖性があり、家族には甘えがある。振り返って『ににん』は、同人誌のようでそうでない、どこか、公園のような性格を帯びている。私はそれでいいかなと感じている。内側でかたまりたくない。いつも、自由に出入りして、風が感じられる雰囲気でいたい。
(喜代子)
▼日に日に秋が深まっていく。この夏、初めて句集を作り、しばらくは毎日郵便が届くのが心待ちであった。少ないと思っていた同世代の作者が、思ったよりずっと多かったことは刺激的な発見である。なかでも、印象的なメッセージをいただいた高山れおな氏に句集評をお願いした。「豈」に所属されている同氏の迫力ある句集『ウルトラ』も頂戴し、同世代の作者への興味は一層募る。
本号より、まつもと・かずや氏の連載が始まった。厳しい意見の中に、俳句という文芸をこよなく愛している眼差しを感じる。
(あき子)
ににん 7号 2002年7月10日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 古澤千秋 |
句集の作り方 | 2 | 清水哲男 |
暗闇の眼玉 | 4 | 正津勉 |
ことばを詠む | 6 | 岩淵喜代子/土肥あき子 |
俳句鑑賞 寂光 | 8 | 岸本尚毅 |
江戸俳画紀行「松尾芭蕉」 | 12 | 磯辺まさる |
連載 花影婆娑と 原石鼎評伝 二 | 18 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「鎖」 | 22 | 清水哲男ほか |
連載 句句燦燦 | 28 | 川村研治 |
連載 わが凡愚俳句に入る 三 | 30 | 相羽宏紀 |
俳句 さざん集 | 32 | 宮本郁江ほか |
ユニークなタイトル ロバート・クレイス | 40 | 土肥あき子 |
連載 俳句の風景 八 | 42 | 岡本敬三 |
歌仙 椿と人死にき | 44 | 川野蓼艸 |
遠望の句集、遠望の俳人 | 446 | 岩淵喜代子 |
編集後記 | 48 |
●編集後記●
▼2000年秋号から始まった「ににん」も、次回の秋号で3周年に入る。このあたりで、改めて「俳句を考える」、というテーマを掲げて、内外の意見を盛り込んいきたいと思う。
(喜代子)
▼2002年7月7日、富士見書房より第一句集を出すことができた。「初めての自分の本は抱いて寝るほど嬉しいものだ」と言われていた通り、手にした夜は枕元に置いて眠った。嬉しいわが子の誕生である。
そして盛夏7月は生まれ月らしく、清水哲男さんの『増殖する俳句歳時記』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、正津勉さんの詩集『遊山』(思潮社)、エッセイ集『詩人の愛—百年の恋 50人の詩』(河出書房新社)が、続々と仲良く刊行予定である。
(あき子)
ににん 6号 2002年4月25日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
好きなはずの句なのに | 2 | 清水哲男 |
ハイク詩 ヘイデン・カルース | 4 | 正津勉 |
特別作品 水のあなた | 6 | 草深昌子 |
俳句鑑賞 旅する人 | 10 | 櫂未知子 |
江戸俳画紀行「大伴大江丸」 | 14 | 磯辺まさる |
連載 花影婆娑と 原石鼎評伝 一 | 20 | 岩淵喜代子 |
俳句 ににん集「焔」 | 24 | 清水哲男ほか |
連載 句句燦燦 | 30 | 川村研治 |
俳句 さざん集 | 32 | 岩淵喜代子ほか |
サリンジャーと芭蕉 | 40 | 土肥あき子 |
連載 俳句の風景 七 | 42 | 岡本敬三 |
編集後記 | 44 |
●編集後記●
▼最近になって、表紙の部分を表1、2、3、4と呼び分けることを知った。斯程に編集の専門知識もない二人だが、これまで迷う事なく雑誌を作ってきた。希にある個所が気になりながら、その理由が掴めないままやり過ごしたこともある。しかし、そんなときは、出来上がった雑誌を開きながら、ぼそっと「ここは、文字を少し小さくしたほうが……」などと磯辺さんがいう。その言葉で、気になっていた理由が解消したりするのだ。もともと、「ににん」は磯辺さんをはじめ、清水さん、正津さん、岡本さんはみんな編集経験者だ。私たちはおおらかな子育ての掌の中にいるのだ。校正にはプロの岡本さんを煩わせている。
(喜代子)
▼春である。本誌偶数号に短編小説を連載している岡本敬三さんが第18回太宰治賞(筑摩書房/三鷹市共催)の最終候補に残った。候補作「根府川へ」は『太宰治賞2002』(5月刊行予定)に掲載される。いつも囁くような小声で、うつむき加減の同氏が、いつか晴れの舞台で挨拶をする姿を思うと、不安と喜びが混在する姉のような心持ちになる。今回の原稿の脇には、ほそぼそとした消え入るような筆跡で「小説も俳句もむずかしいけれど、俳句のほうは、よりマイッタナァという思いがたくさんあります。ただ、ひじょうにありがたいのは、文字数やモチーフに限定があるぶん、未知な筋肉がつくようなそんな気分——というより力がついていく感じがすることです」と書き込まれていた。
(あき子)
ににん 5号 2002年2月1日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
ゾクッ、俳句のデザイン | 2 | 清水哲男 |
井月と路通 | 4 | 正津勉 |
特別作品 ミルク飲む子 | 6 | 清水哲男 |
特別作品 地平線 | 10 | 岩淵喜代子 |
俳句鑑賞 松ぼくりが鳥になる日 | 12 | 大木あまり |
俳句鑑賞 悴むな | 16 | 前田弘 |
江戸俳画紀行「藤森素檗」 | 20 | 磯辺まさる |
俳句 ににん集「獏」 | 24 | 清水哲男ほか |
連載 句句燦燦 | 30 | 草深昌子 |
俳句 さざん集 | 32 | 岩淵喜代子ほか |
連載 わが凡愚、俳句に入る 二 | 38 | 相羽宏紀 |
連載 風のたより 豊島区雑司が谷 | 40 | 土肥あき子 |
連載 俳句の風景 六 | 42 | 岩淵喜代子 |
編集後記 | 44 |
●編集後記●
▼「ににん」の0号から4号までの表紙絵の作者は美大の学生若山卓君。まだ、「ににん」を発行する計画も持ち上がっていないころ、フランスの街角をスケッチして送ってくれたものである。その繊細な線が気に入って、額に入れて眺めていたものを使わせてもらった。名残惜しいのだが、いつまでも同じ絵というわけにもいかず、年度がわりを期に5号から表紙絵を新しくした。描いてくださったのは斉藤恵子さん。画家はそれぞれ自分だけの独特の色を持っているのだと思うが、斉藤さんの場合はブルーを光として表現しているようである。数々の賞を得て、各所で個展を開催している画家で一水会会員。斉藤さんの父君澤野良雄氏の好意で、お願いすることが出来た。
(喜代子)
▼その夜、かなり不機嫌に出てしまった電話が大木あまりさんからであった。動転した私のとんちんかんな対応に今さらながら赤面する。今回いただいた鑑賞文は、これから俳句の壁にぶつかるたび、手に取る一文となるに違いない。この出来事を含め、昨年は方々に撒かれた小判を拾い集めるような心踊る一年であった。
今年も「ににん」をノックしていただくお客さまに大きく扉を開き、素敵な出会いを楽しみたい。
最後になりましたが、本年もどうぞよろしくお願いします。
(あき子)
ににん 4号 2001年11月1日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
俳句のデザイン | 2 | 清水哲男 |
元気かと 松村武雄 | 4 | 正津勉 |
特別作品 口中の霧 | 6 | 川村研治 |
色の魔術師 | 10 | 岩井久美恵 |
江戸俳画紀行「常世田長翠」 | 14 | 磯辺まさる |
俳句 ににん集「地球」 | 18 | 清水哲男ほか |
連載 句句燦燦 | 24 | 草深昌子 |
俳句 さざん集 | 26 | 岩淵喜代子ほか |
言葉の記憶 | 32 | 土肥あき子 |
連載 わが凡愚、俳句に入る 一 | 36 | 相羽宏紀 |
連句 月のペンダント | 38 | 川野蓼艸捌 |
連載 俳句の風景 五 | 40 | 岡本敬三 |
連載 風のたより 石垣島 | 42 | 土肥あき子 |
編集後記 | 44 |
●編集後記●
▼二度目の秋号を無事送り出すことができた。楽しみながら続けられる幸せを、つくづく感じているとはいえ、小さな事件は毎回必ず起きる。誤植や画像の不具合、果ては表紙と裏表紙を反対に作ってしまったこともあった。そのたび、関係者の皆さんの手をわずらわせ、「次号こそ、きっと立派なものを作るのだ」とヒノキになりたいアスナロのような心持ちで作った本号である。
ににん集、今回のテーマは「地球」。九月のテロ、そして今も続く戦争。ひとつの星に住み合わせた、ただ一種の生き物である人間の傲慢さを見つめ直すきっかけにもなった。本号に転載した「言葉の記憶」を書かせていただいた「船団」は坪内稔典氏が代表されている俳句雑誌である。ここに書いたとおり、わたしはイスラム信者のたくさん住む国に短期間ではあるが暮らしていた。心やさしい多くのイスラムの人々が誤解されることのないよう心から祈っている。
(あき子)
ににん 3号 2001年8月1日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
俳句四季大賞受賞風景 | 2 | 土肥あき子 |
特集『螢袋〜』書簡 | 4 | 岩村蓬 |
特集『螢袋〜』純粋なポエジー | 8 | 本宮哲郎 |
特集『螢袋〜』俳句の二人三脚 | 10 | 塩川雄三 |
俳句と朗読 | 12 | 清水哲男 |
檻の狼 大道寺将司 | 14 | 正津勉 |
特別作品 夏 | 16 | 磯辺まさる |
連載 江戸俳画紀行「松岡青蘿」 | 20 | 磯辺まさる |
俳句 ににん集「原子」 | 24 | 清水哲男ほか |
連載 句句燦燦 | 32 | 川村研治 |
俳句 さざん集 | 34 | 岩淵喜代子ほか |
連載 俳句の風景 四 | 40 | 岩淵喜代子 |
連載 風のたより 久米島 | 42 | 土肥あき子 |
編集後記 | 44 |
●編集後記●
▼本号は岩淵喜代子さんの「俳句四季」賞受賞特別号である。この「俳句四季」大賞受賞に続き、岩淵さんは邑書林が発行する『現代俳句100人二十句』にも選出された。パンフレットには、「茨木和生、宇多喜代子、坪内稔典、西村和子が激論の末、今世紀初頭の俳句をリードするであろう100人」と、どきどきするようなコピーが並んでいる。にもかかわらず、ご当人といえば、「幸運を呼ぶ指輪のせいかも」などと、夢みたいなことを平気でおっしゃる。
その上、「お裾分けよ」とお揃いの指輪をいただいてしまった。たまたま続いた朗報が、幸運の指輪に関わらず、実力であることを充分承知しているはずのわたしではあるが、やはりその青い指輪をせっせと付けている毎日なのである。
(あき子)
ににん 2号 2001年5月1日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
風船俳句 | 2 | 清水哲男 |
在日の句集 姜王基東 | 4 | 正津勉 |
特別作品 影の一寸法師 | 6 | 岩淵喜代子 |
特別作品 水温む | 10 | 土肥あき子 |
俳句に輪郭を | 14 | 岩淵喜代子 |
連載 江戸俳画紀行「建部涼袋」 | 18 | 磯辺まさる |
俳句 ににん集「性愛」 | 22 | 清水哲男ほか |
俳界ノイズ抄 | 27 | 磯辺まさる |
連載 句句燦燦 | 28 | 川村研治 |
俳句 さざん集 | 30 | 磯辺まさるほか |
連載 俳句の風景 三 | 34 | 岡本敬三 |
連載 風のたより 粟国島 | 36 | 土肥あき子 |
連句 さの字よの字 | 38 | 川野蓼艸捌 |
編集後記 | 40 |
●編集後記●
▼今回初めて挑戦した連句は、川野蓼艸氏に捌いていただいた。手許の資料をあらためて見直すと、「古くから俳句に親しみ、現代連句の先達の役も果たす」と紹介されている御仁である。われら初心者軍団の無知加減にあきれ、ずいぶんとお酒のすすんだ席になってしまった。ともあれ、蓼艸氏の第一級の操縦と、同席してくださった博識の高岡粗濫氏の絶妙なサポートの末、なんとか巻きあがった歌仙をどうかご覧いただきたい。
(あき子)
ににん 1号 2001年2月1日 発行 | ||
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一句燦燦 | 1 | 土肥あき子 |
吉祥寺の水鳥(宴の記) | 2 | 土肥あき子 |
俳句とフィクション | 4 | 清水哲男 |
情痴の終始 堀井春一郎 | 6 | 正津勉 |
俳句 ににん集 「岩」 | 8 | 池田澄子ほか |
連載 江戸俳画紀行「井原西鶴」 | 14 | 磯辺まさる |
同世代の心安さ | 18 | 池田澄子 |
志の行方 | 22 | 鈴木伸一 |
俳句 アナログに戻る日 | 26 | 辻村麻乃 |
俳句 さざん集 | 30 | 岩淵喜代子ほか |
俳界ノイズ抄 | 35 | 磯辺まさる |
連載 俳句の風景 二 | 36 | 岩淵喜代子 |
連載 風のたより 久高島 | 38 | 土肥あき子 |
編集後記 | 40 |
●編集後記●
▼1号の特集として、土肥あき子と岩淵喜代子の0号の作品を俎上に、私達とは異質な場所で作句している池田澄子氏と鈴木伸一氏に、あえて評論をお願いしました。両氏とも、俳壇の認める書き手、期待にたがわぬ文章をいただきました。
「ににん」への爽やかなお客さまたちでした。
(岩淵喜代子)
▼巻頭の宴の記でうまく伝えられたかどうか。とにもかくにも、若い頃の話に少しも変わることのない清水氏、正津氏の溢れる好奇心と、少年のような笑顔にはまったく参ってしまった。こんな素敵な先輩たちと一緒に遊ぶことができるのだからやっぱり俳句はやめられない。
(あき子)
ににん 0号 2000年9月15日 発行 | ||
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創刊にあたって | 2 | 岩淵喜代子 |
野球の窓から俳句を見れば | 4 | 清水哲男 |
苦渋の句集 仲上英夫 | 6 | 正津勉 |
俳句作品 観覧車 | 8 | 土肥あき子 |
句集「螢袋に灯をともす」抄 | 12 | 岩淵喜代子 |
連載 江戸俳画紀行「横井也有」 | 16 | 磯辺まさる |
俳句作品 二回戦 | 20 | 清水哲男 |
俳句作品 萬愚 | 22 | 正津勉 |
俳句作品 クレーの夏その他 | 24 | 磯辺まさる |
俳句作品 娑婆塞ぎ | 26 | 岡本敬三 |
俳句作品 秋の雨 | 28 | 小林はるな |
連載 俳句の風景 一 | 30 | 岩淵喜代子 |
連載 風のたより 波照間島 | 32 | 土肥あき子 |
ハイク/モメントを求めて | 34 | 野村龍 |
句会の楽しみ 句会の喜び | 35 | 小笠原心太 |
編集後記 | 36 |
●創刊にあたって●
▼俳句の俳とは、非日常です。
日常の中で、もうひとつの日常をつくることです。
俳句を諧謔とか滑稽など狭く解釈しないで、写実だとか切れ字だとか細かいことに終わらないで、もっと俳句の醸し出す香りを楽しんでいきたいとおもいます。
そして、『ににん』は誌上サロンです。そのサロンには美人の母娘がいると思ってください。サロンに立ち寄ればおいしい珈琲がいつも用意されていると思ってください。そして、珈琲を飲みながら俳句の深いところで語り合えることを願っています。
(岩淵喜代子)
●編集後記●
▼4年前、正津勉氏の開いていた「本の学校」で遊び気分で開いた句会にすっかり夢中になってしまった。この正津勉氏の萬愚句会は、氏を慕う若い詩人や、詩人の卵といった生活感の薄い者がどこからともなく集まってくるなかで、薄い方から順々に野村龍さん、岡本敬三さん、小笠原心太さんに今回句会の様子や俳句を寄せてもらった。
清水哲男氏とは98年猫の日に刊行された『詩に踏まれた猫』というアンソロジーに取り上げていただいたことをきっかけに、その後パソコン好き、俳句好きをわずかな共通項としてありがたくメル友させていただいている。
今のところ、『ににん』は母ひとり子ひとり、身寄りのない木の葉のような雑誌である。しかしこれからどんなパートナーが現れ、素敵なお客さまが遊びにきてくださるのか、未知の出会いに思いを馳せ、号を重ねることも、また格別の楽しみである。
(あき子)