新米に赤子の匂ひありにけり   岩淵喜代子

みどり児の瞳大きく雁わたし
うつむいて蟋蟀の声拾ひけり   (「俳壇」十月号より)

『絵硝子』平成30年 1月号
現代俳句鑑賞   筆者 高平嘉幸

一句目、新米に「赤子の匂ひ」とは意表をつく。確かに赤子の匂いは初々しく格別である。新米の匂いも青々しく新鮮である。作者は恐らくお孫さんでも授かってその喜びを詠ったのかも知れない。
二句日、この句は正に「みどり児」の誕生を謳歌している。「雁渡し」の季語が適切で、みどり児の将来が幸あれと願っていると見た。
三句日「蟋蟀」の鳴き声は、いかにも淋しい。その声を「うつむいて」拾ったという作者の心情が手に取る様だ。小動物に対する愛情が伝わってくる。

 

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