あらたまの年のはじめの海鼠かな   松尾隆信

俳句はリズムだと主張したのは藤田湘子。それが、散文と詩の大きな違いになるだろう。「あらたまの年のはじめの)とどこか見知りの、見知っているというだけではなく、一度や二度は口ずさんだこともあるかもしれない章節である。

それにも拘わらず、座語の「海鼠」によって思わぬ展開をするのである。単なる海ではなく、海底を内包する海が広がって、その芯のよう海鼠によって、そのめでたさが重厚になるから不思議だ。自註現代俳句シリーズ・11期62『松尾隆信集』 平成7年作

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