中山葛子第七句集『かもめ』 2014年5月 角川学芸出版

帯に金子兜太氏がーーかもめは小生のなかの山中葛子の映像でもあるーーと書き記している。

さくらさくらもんどりうっている臓器
またひとり減る野遊びの鍵音
きたさのさ男踊りは鳥のごと
鵯もいて水色の金平糖
かもめ橋さわやかな佐藤家のおにぎり
からっぽの舟すれ違う天の川
小鳥来る鎖の先に象の脚

平成14年から24年までの10年間の集成は、かわいた感性で対象を目前まで引き寄せてくる、といった感じで句の世界を展開させてゆく。その軽やかさのなかに、(からっぽの舟すれ違う天の川)のような不思議な時空を描き出している。

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